カリフォルニア州パサデナに本拠を置くAIスタートアップ「Deep 6」は、これまで数ヶ月を要していた被験者探しを数分に短縮することに成功した。同社は、2019年11月に1700万ドルを調達したことを明らかにした。これにより同社の累計調達額は2200万ドルとなり、評価額は5000万ドル(約54億円)に達した。
特定の臨床試験に最適な被験者を探すためには、患者の健康状態に関する情報が必要となる。しかし、こうした情報はEMR(電子医療記録)や医師のノート、病理報告書などに分散しているため、被験者探しに長時間を要していた。
これに対し、Deep 6は自然言語処理というAI技術を用いて異なるシステムに蓄積されたデータをまとめ、研究者が特定の疾病をフィルタリングできるよう分類した。また、同社は患者の症状から病名を推測できるようソフトウェアを学習させ、病名が明確に記載されていない場合でも該当者にフラグを立てることを可能にした。
61の医療機関から成るテキサス医療センター(TMC)では、担当者が分厚い医療記録のファイルをもとに手作業で被験者探しを行っていたが、Deep 6のソフトウェアを導入して業務が大幅に効率化されたという。
「これまで、臨床試験の被験者探しは長く辛い作業だった」と同センターのCEO、Bill McKeonは話す。TMCの研究者らがDeep 6の導入効果を検証したところ、あるケースでは12名の被験者を手作業で探すのに6ヶ月を要したが、Deep 6のソフトウェアは数分で80名の候補者を抽出したという。
Deep 6のWout Brusselaersによると、同社はTMC以外に20もの医療センターや研究所、医療デバイスメーカーと契約を締結しているという。