あなたは見込み顧客との商談で、相手の話を本当にしっかり聴いているだろうか?
見込み顧客との会話中は、聴き手に徹するのが重要だ。私は、聴くを8割、話すを2割にするようにしている。
見込み顧客の話にしっかり耳を傾けて的確な応答をする方法については、科学的なステップがある。2500件以上の調停・交渉実績を持つ調停人・交渉人のマイケル・グレゴリーは「神経科学からは、自分の話を聴いてもらえた人は、相手の言うことを聴く姿勢が非常に強まることが分かっている」と言う。
「勝利とは勝ち負けのどちらかだという考え方がある。自分は100%勝利し、相手を負かすべきだ、と。一方で、勝利とは妥協して争いを終わらせることだという考え方もある」
グレゴリーは、ミネソタ州最高裁判所の公認調停人で、ミネソタ州法曹協会裁判外紛争解決手続部門の役員も務めている。紛争解決のプロであり、常勤ボランティアとして住宅裁判所、調停裁判所、公営住宅や住民間のトラブル、ギャング同士の抗争、人種問題がらみの警官発砲事件を担当してきた。11冊の著書もある。
「聴くこと」の専門家であるグレゴリーは、次のような最近の事例を紹介してくれた。
「私は調停前にまず一方の主張を聴いた後、私は取締役会に対し、もし自分に調停をしてほしければ、CEOをチームから外し、合意に至れる場合はCEOが介入しないようにする必要があると伝えねばならなかった。CEOは100%の勝利を欲していた。10億ドル(約1100億円)近くがかかっている案件だった。顧問弁護士には、誰がCEOに伝えたらいいのかと聞かれたが、それは私の仕事ではないと答えた。2週間後、CEOがチームから外れ、私が調停を行うことが決まった。調停は24人が参加し、8時間の枠が確保されていた。両者は12時間後に合意に達した」