iPhoneは、歴史をどう変えてきたか?

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総売上高259億9000万ドルとも言われる「iPhone」を知らない人はいないと言っても過言ではない。

アップル創業者であるスティーブ・ジョブズは、「全てを変える」と言ってiPhoneを発表した。iPhoneは、これまでにどう歴史を変えてきただろう。


「携帯電話を再定義する」

2007年1月9日、ジョブズはiPod・携帯電話・インターネット通信機器が1つになったデバイス、iPhoneを発表した。

プレゼンテーションで「These are not three separate devices, this is one device(これは分かれた3つのデバイスではない、これは1つのデバイスだ)」と述べたように、iPhoneがあれば、人は複数のデバイスを持つ必要がなくなった。

それまで、音楽を聴くのはiPod、通話は携帯電話、インターネット通信はPCと、デバイスによって役割が分かれているのが常識だった。それをiPhoneが一変させた。

消えたキーボード

iPhoneが登場する前の携帯電話は、キーボードでの入力が基本だった。しかしタッチパネルやタッチパッドを備えたiPhoneに設置されたのは、ホームボタンだけ。

これにより、例えば拡大や縮小など複雑な操作も指で簡単に操作可能になった。17年に発売されたiPhone Xはいよいよホームボタンもない全面スクリーンとなり、5.8インチという大画面が実現した。

また、マルチタッチの導入は各国の言語に合わせてキーボードを制作するという常識も変えた。画面にキーボードが表示されるので、表示を切り替えられる仕様に。その結果、全世界が同じiPhoneを手にする時代を迎えることになった。

「シンプル」を追求したスティーブ・ジョブズ

ジョブズは、シンプルであることに徹底的にこだわった。

だからこそ、キーボードをなくし、大画面とホームボタンのみのiPhoneが生まれたと言えるだろう。また、iPhoneは必要最低限の機能のみを装備し、ユーザー自らが好きなアプリケーションを追加してカスタマイズしていくスタイル。不必要なものは全て削ぎ落とした結果、機能的でシンプルなiPhoneが出来上がった。

アプリでビジネスを生み出す世界へ

アプリケーションを追加することが基本であるiPhoneは、ビジネスの生み方まで変化させた。インスタグラム、LINEやTinderを例に挙げればわかるように、現代において、アプリ開発をビジネスの基本にした。

ロック解除、決済もFace IDで

近年のiPhoneで最も画期的なイノベーションは、顔認証技術(Face ID)だろう。顔認証技術とは、生体認証技術の一種。目、鼻、口など顔の情報からその個人を特定・識別することができるシステムだ。

iPhoneXで初搭載され、指で操作することなく、スクリーンに顔を向き合わせるだけでiPhoneのロックを解除できるようになった。世界的に加速する電子決済においても、パスワードを入力しなくとも顔認証・FaceIDで決済を行うことが可能に。パスワード入力の時間・手間が短縮された上、セキュリティ面でも安全性が向上した。

その他、GPS機能やバッテリー時間の拡大、ディスプレイの美しさ・大きさ、耐水・耐久性など、iPhoneの進化は続いている。アップルは、今後、最高水準の指紋認証の開発等により、パスポートやIDカードに置き換わるとも宣言している。

また、折りたたみ式のiPhoneが発売されるという噂もある。誕生以来、時代の変化を牽引してきたiPhoneは、これからはどう世界を変えていくだろう。

文=齋藤優里花 写真=Shutterstock

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