キャリア・教育

2019.12.18 16:00

幻となった「日本版ケンブリッジ校」 英首相からも賛同を得た計画の全貌とは

2016年、筆者は「Tazaki財団」を設立した。同財団では16歳の高校生を対象に5年間の英国留学にかかる費用(約4000万)を全額支援している。返済不要の奨学金として国内最高額。

なぜここまでグローバルリーダーの育成に投資するのか。それは、筆者自身が身をもってその大切さに気づいたからだ。1962年、19歳の頃単身渡英し、ケンブリッジ大学に進学。卒業後に英国で創業した人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントは、現在世界11カ国で事業展開するほど成長を遂げた。

この連載は、今後日本や世界を牽引する若者に向けて必要なことを、筆者の半生を振り返りながら綴る奮闘記だ。


1985年、英国で学んだ私が日本に還元したいことの実現に向けて具体的に動き始めました。日本で英国式の中等教育を行う全寮制の学校を設立し、日本の若者をグローバルリーダーに育成するための支援をするという壮大な夢の実現に向け、学校設立プロジェクトを立ち上げたのです。

日本で13歳から入学する中高一貫の、国語以外の科目を全て英語で学ぶ英国式の学校を作れば、日本人としてのアイデンティティを確立しながら高い英語力を身に着け、オックスフォードやケンブリッジのような世界トップクラスの大学を目指すことができると考えたのです。

このプロジェクトにはおよそ6年を要しました。最終的に断念することになり私の長年の夢は破れたのですが、今回はそのエピソードをご紹介したいと思います。

プロジェクトに協力してくれた最高の支援者たち

日本で学校を作る準備のために、最初に相談したのはケンブリッジ大学学長のバターフィールド氏です。

バターフィールド学長は糖尿病の研究の第一人者として知られた医学者で、英国皇室(ロイヤルファミリー)の主治医でもある、英国の医学界において最も権威のある人物です。


プロジェクトに協力いただいた方々。右上から時計回りに、イートンカレッジ学長 エリック・アンダーソン氏、元英国銀行総裁 オブライエン卿、検定試験の責任者 ジョン・レッダウェイ氏、ケンブリッジ大学学長 バターフィールド氏(1985年当時)

私が学長に「日本で作る学校にケンブリッジの名をつけたいのですが、許可をいただけますか?」と相談すると、最初は難色を示したものの承諾をいただくことができました。学校の名前は、世界で活躍できるトップクラスの人材を育成するという想いを込め「ケンブリッジ・スクール・オブ・ジャパン(The Cambridge School of Japan)」と名付けました。
次ページ > サッチャー首相も激励

文=田崎忠良

ForbesBrandVoice

人気記事