この取り組みは、国内で販売する飲料に使用するポリエチレンテレフタレート(PET)製ボトルの90%を生産するストックホルム近郊のヨードブロ工場で開始する予定。ただし、ボトルのキャップとラベルは引き続き、それぞれ原料にポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などを使用する。
同社はスウェーデン国内では「コカ・コーラ」のほか、「ファンタ」や「スプライト」など約40種類の飲料向けにPETボトルを生産している。
同社のスウェーデン事業を率いるトップはフォーブスに対し、「私たちはサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の発展に全力を注いでいる。廃棄物や環境に残るものを生み出さないようにするため、容器を100%回収、リサイクル、リユースすることを目指す」と述べている。
コカ・コーラがスウェーデンでこの取り組みを開始するのは、同国がサステナビリティ(持続可能性)における最前線にあると考えられるためだ。また、デポジット制度(消費者がペットボトル購入時に預り金を支払い、空ボトルを返却すると返金してもらえる仕組み)が有効に機能している国だからでもある。
世界最大のプラゴミ発生源
環境保護団体グリーンピースなどが参加するネットワーク「ブレイクフリー フロム プラスチック(Break Free From Plastic、BFFP)」が行った調査では、世界中で回収された47万5000個以上のプラスチック廃棄物のうち、最も多くを占めていたのはコカ・コーラの製品(1万1732個)だった。
廃プラスチックに関する取り組みを行うグリーンピースUSAの関係者は、コカ・コーラがバージンプラスチックの使用量を減らすのは良いことだとする一方、同社は使い捨てプラスチックの使用を完全にやめるときだと主張する。
フォーブスの取材に対し、「毎年1000億本以上のペットボトルを生産しているコカ・コーラがそれらの回収に向けた取り組みを強化しても、現実的にはそれでプラスチック汚染による危機が解消されるとは考えられない」と語った。
「調査の結果、コカ・コーラが世界で最も多くのプラスチック廃棄物を出すブランドであることが分かっている。また、世界でこれまでに生産されたプラスチック製品のうち、リサイクルされているのは10%にも満たない」
「このことを考えれば、同社は汚染の原因となっている自社のビジネスモデルを根本的に見直し、本当の違いを生み出すため、リユースに移行していくべきだろう」
コカ・コーラは現在、「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を目指す野心的な取り組みを世界的に進めている。2030年までにPETボトルにおけるリサイクル素材の使用率を50%とするほか、ボトルと缶の販売数と回収する数を等しくすることを目指している。