ビジネス

2019.12.01

最初からグローバルで勝ちに行く 日本発不動産テックの挑戦

(左)川田隆太 (右)白崎純平

毎年11月に開催される、世界の不動産テック企業が集う「NYC Real Estate Tech Week」にて、日本のスタートアップで初めてオフィシャルイベントとして認定されたのが、WealthPark(ウェルスパーク)主催のイベントだ。

不動産テックは、直近の話題こそ「WeWorkショック」だが、ここ数年、グローバル市場にて多くの資金が流れ、数多くのユニコーン企業が誕生した。米国の不動産情報サイトのZillow、中古不動産販売のOpendoor、不動産仲介のRedfin、高級住宅に特化した売買賃貸仲介のCompassは、GAFAならぬ「ZORC」と呼ばれ、注目を集めている。

そんな不動産テックの本場、ニューヨークに拠点を構え、グローバル市場を見据えて挑戦をしているのがウェルスパークだ。CEOの川田隆太(写真左)、CFOの白崎純平の二人が口を揃えて強調するのが「世界を舞台にしないと戦えない」ということだ。

同社は現在、不動産管理会社向けの業務効率化・管理支援ツール、不動産投資家向けの投資用不動産の収益管理ができるアプリ、インバウンド不動産投資支援の3つの事業を展開。

2019年4月に、シリーズAラウンドで5億4000万円の資金調達を行った。それ以前の18年11月にすでに米国進出し、白崎をはじめ、本場の不動産テック・コミュニティとの関係も強化。それが今回の認定にもつながった。彼らが狙うのは、4200万人を超える世界中の富裕層に向けた「世界一のオルタナティブ投資のプラットフォーム」。

170兆ドルに上るという非流動資産の対象資産のうち、まず不動産領域に挑む。その手段として「最初からグローバル市場で勝つこと」を掲げている。

「競合企業は、賃貸物件管理SaaSの米RealPageや米VTS。グローバル水準の上場企業やユニコーン企業だが、事業モデルの優位性で競争が可能だ。また、協業候補先として、オルタナティブ投資プラットフォームの米YieldStreet、大型商業不動産投資プラットフォームの米CADREなどを意識している」(川田)

ウェルスパークはすでに、日本、中国、台湾、香港、米国、英国、カナダでサービスを展開。米国ではスタートアップへの投資も実行、19年9月には英Four社との事業提携・データ連携を発表。世界中の市場においても、同様の協業を視野に入れる。最初から世界一を掲げ挑む、スタートアップの戦いは本格化していく。


川田隆太◎ファウンダー、CEO。WealthPark事業を創業。投資銀行、ITベンチャーのCEOを経て、2013年に事業承継と共に、WealthPark事業を開始。

白崎純平◎CFO、米国事業責任者。モルガン・スタンレーの不動産ファンドMSREFを経てWealthPark事業に参画。

文=山本智之 写真=小田駿一

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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