ザック自身、「ヴィクトリアズ・シークレット」などの下着ブランドの店舗に行き、どれもぴったりではないブラジャーをいくつも試着するのが嫌だったという。そこで考えたのが、オンラインのみで試着から購入までができるようにし、女性の下着の買い方を完全に変えようと試みることだった。
だが、世の中は時とともに変わるものだ。ザックは今年初め、初のポップアップ・ストアをニューヨークに開業。10月には実店舗の全米展開をリードする人材を探していることを認めた。2020年中に国内に3〜5店舗をオープンしたい考えだという。
オンライン広告にかかるコストも一因
オンライン小売における競争が激化し、インスタグラムなどのプラットフォームを利用した広告にかかるコストが増加するなか、EC専門ブランドは消費者間の認知度を高め、売り上げを伸ばすために実店舗に力を入れるようになっている。
米投資会社フィフスウォール(Fifth Wall)のプリンシパル、ケビン・カンポスとデータ分析の米シンクナム(Thinknum)が新たに発表した分析結果によると、サードラブのほかアイウェアブランドの「ワービーパーカー(Warby Parker)」、スニーカーの「オールバーズ(Allbirds)」、スーツケースの「アウェイ(Away)」といったデジタル・ネイティブのブランドが運営する実店舗は、すでに1700を超えている。
そして、商業用不動産サービスの米JLLの調査によれば、こうしたブランドの店舗は今後、さらに増加する見通しだ。マットレスの「キャスパー(Casper)」、メンズアパレルの「アンタックイット(Untuckit)」、ランジェリーの「アドアミー(Adore Me)」なども含め、2023年までに850店舗の開業が予定されているという。
オンライン専門の小売業者の中で、実店舗としての存在感を最も急速に高めているのは、歯列矯正サービスの「スマイルダイレクトクラブ(SmileDirectClub)」だ。2016年以来、300店舗以上を開設している。
店舗の大半はドラッグストア・チェーンのウォルグリーンズ(Wall Greens)やCVSの店内に設けており、設備投資や店舗開設に伴うリスクを回避することに成功している。