労働局は、ウーバーが同社の運転手を誤分類したことで財務的な利益を得たとして、未払い分の雇用税を請求している。請求額の内訳は、滞納した税金が5億2300万ドル(約570億円)、2015年以降の利子と罰金が1億1900万ドル(約130億円)だ。
だがウーバー側はこれに反論。広報担当者のアリックス・アンファングはブルームバーグ・ローに対し「この暫定的だが間違った判断に対し、当社は異議を申し立てる」と述べた。
ギグエコノミーの急速な出現とそれに関連した求人市場は、人々の働き方を大幅に変えた。収入アップが必要だがフルタイムの正社員職を見つけることができない人や、自由で独立したライフスタイルを望む人たちは、こうした新しいタイプの仕事を選ぶようになった。ギグ労働者は一見すると従業員のように振る舞っているが、労働の提供先である企業からは独立請負人として扱われている。
大抵の場合、この中心にいるのはテック系企業で、その代表例がウーバーやリフト、ポストメイツ、インスタカート、ドアダッシュ、グラブハブ、タスクラビット、アップワーク、ファイバーなどだ。
労働者を請負人に分類すると、企業にとっては財務面で非常に大きなメリットがある。給与税、社会保険税と医療保険税を合わせたFICA、障害保険、国や州レベルでの失業保険、健康保険を支払ったり、有給休暇を提供したりする必要がない。こうした税は、従業員側も一部を負担する必要がある。
ニュージャージー州の要求は、現時点では失業・障害保険に限られたものだが、ウーバーは州法に基づき、運転手に対する最低賃金と残業代の支払いを命じられる可能性もあり、支払額は膨大な額に上るかもしれない。ニュージャージー州だけでも6億4000万ドルが請求されているのだから、米国の全ての州、そしてギグ労働者に頼る全企業を合わせると、いったいどれほどの金額になるだろう?
ブルームバーグ・インテリジェンスによると、ウーバーの運転手が従業員としての再分類を強いられた場合、運転手のコストは20%以上高騰する可能性がある。株式市場ではニュージャージー州の対応が嫌気され、同社株は3.9%ほど下落。ウーバーの競合企業であるリフトの株価も一時3.2%下落した。