テンセントはスマホ向けゲームの「王者栄耀(Honor of Kings)」を大ヒットさせたことで知られ、「アサシンクリード」のユービーアイソフトや「フォートナイト」のエピックゲームズ、「リーグ・オブ・レジェンド」のライアットゲーズの株式も取得している。しかし、テンセントは任天堂のように米国市場でコンソールを販売していない。
テンセントの匿名の関係者は、市場サイズで中国に匹敵する米国のゲーム市場への参入を視野に入れていると述べている。このニュースは、中国政府が今後、若年層のゲーム利用にさらなる規制をかけていくと宣言した直後に浮上した。
テンセントは現在、任天堂と組んで中国市場にスイッチのハードやソフトを投入しようとしているが、その実現に向けては政府の承認が必要になる。任天堂の投資家らはこの動きを期待しているが、任天堂社長の古川俊太郎は「中国ではコンソールゲームよりも、PCやモバイルゲームが主流であり、スイッチの中国進出が多大な売上をもたらすことにはならない」と述べている。
中国のゲーム市場は巨大で、テンセントはモバイルやPCゲームのマネタイズに成功したものの、今後の見通しは不透明だ。中国政府は2018年に9カ月に渡り、新規のゲームの承認を凍結し、テンセントの株価は大きく下落した。そんな中、テンセントが米国を目指すのは自然な流れだ。
香港の民主化運動の高まりを受けて、米国のゲームユーザーは中国に反発する声を強めている。デジタルカードゲーム「ハースストーン」の運営元のアクティビジョン・ブリザードは、有名ゲーム選手がインタビュー中に、ガスマスク姿で香港デモのスローガンを叫んだため、彼に1年間の出場停止処分を下していた。その結果、アクティビジョン・ブリザードは米国人ユーザーから強い非難を浴びた。
しかし、そんな状況下でもテンセントとアクティビジョンがリリースしたスマホゲーム「コール オブ デューティー モバイル」は10月から世界配信を開始後の1カ月で、1億4800万ダウンロードという、モバイルゲームでは史上2位の月間ダウンロード件数を記録していた。