フォーブスは11月6日、毎年恒例の「中国の富豪ランキング」を発表した。ここに登場した400人の資産総額は、前年比20%以上の伸びで1.29兆ドルに達した。今年のランキング入りに必要な保有資産の最低ラインは10億ドルで、2018年の8億4000万ドルを上回った。
1位は2年連続でアリババ創業者のジャック・マーで、保有資産は382億ドル(約4.2兆円)だった。2位はテンセントCEOのポニー・マーで360億ドル。3位は不動産開発大手「恒大集団(エバーグランデ・グループ)」会長の許家印で277億ドルだった。上位3人の順位は昨年から変わっていない。
Eコマース分野では拼多多(ピンドォドォ)CEOのコリン・ファン(黄峥、別名Huang Zheng)が昨年の112億5000万ドルから、今年は212億ドルに資産を増やし7位に浮上した。ファンは元グーグルのエンジニアで2015年に同社を創業していた。
アリババが支援する宅配サービス企業、中通快逓(ZTOエクスプレス)CEOのLai Meisong(頼梅松)の資産も昨年の33億5000万ドルから46億ドルに膨らんだ。
医薬品や医療分野の富豪らも大幅に資産を増やしている。ランキング4位のハンルイ医薬会長のSun Piaoyang(孫飄揚)の保有資産は258億ドルに達した。Sunの妻のZhong Huijuanは医薬品メーカーの江蘇恒瑞医薬(ジャンスー・ハンルイ・メディシン)を率いている。
また、深センの医療機器メーカーMindray会長のLi Xitingも、株価の上昇によって昨年の18億ドルから今年は85億ドルまで保有資産を伸ばした。
ANTAのブランド名で知られるスポーツ衣料の「アンタスポーツ(安踏体育)」の株価はここ1年で2倍以上になり、同社を率いるビリオネア兄弟のDing ShizhongとDing Shijiaらの資産はそれぞれ56億ドルと55億ドルとされた。
IPOによりビリオネアの仲間入りを果たしたメンバーも多い。菓子メーカーThree Squirrels(三只松鼠)会長のZhang Liaoyuanは資産16億ドルで、ランキングに初登場した。ソフトウェア企業ArcSoft会長のHui Dengも資産10億ドルで本ランキングにデビューした。この2社はともに7月にIPOを果たしていた。
一方、自動車メーカーは売上減少に直面しており、ボルボの親会社として知られる「吉利汽車(Geely)」の創業者でジーリー・ホールディング・グループ会長の李書福(Li Shufu)の保有資産は昨年の142億ドルから129億ドルに減少した。
フォーブスは本ランキング作成にあたり、10月25日時点の各社の株価を参照した。非上場企業の場合は、同業の上場企業の株価からその価値を試算した。中国の富豪ランキングでは各メンバーの保有資産の算定に際し、配偶者の資産を組み入れる点が、世界のビリオネアリストとは異なっている。