合成生物学開発企業「GinkgoBioworks(ギンクゴー・バイオワークス)」のジェイソン・ケリーCEO(38)は、自社ならそんな“SF的な未来”を実現できると信じて疑わない。そして、「こんなことを話しても『クレイジーな奴だ』と思われなくなってきた」と話す。
いま、DNAの塩基配列を決定する技術「DNAシークエンシング」や、遺伝子編集技術「CRISPR(クリスパー)」の進歩により、合成生物学開発企業が台頭している。
ケリーが2009年に大学の仲間と立ち上げたギンクゴーは、トウモロコシが互いに肥料を与え合えるよう、あらかじめ肥料をコーティングした種子を開発するなどして、昨年4000万ドルを売り上げた。今年は売り上げが倍増する見込みだ。
「生物学はプログラミングだが、モノもつくれる」とケリーは言う。
「食品、住宅、素材、電子機器。そのすべてが生物学で変わるよ」
ジェイソン・ケリー◎合成生物学開発企業「ギンクゴー・バイオワークス」の共同創業者兼CEO。マサチューセッツ工科大学(MIT)時代の仲間や教授ら5人で起業。いまのところ、独自で製品開発をすることはないが、データ解析やロボティクスを通じて他企業のフレグランス(香料)や農作物、食品、薬品、大麻といった製品の開発に協力している。