そうしたスキルがあれば、立派な予測が立てられるように思えるかもしれない。だが集団になると、予測に失敗してしまう。とりわけ、トレンドの変化や異例の局面(不況や成長期など)を見抜く場合には、失敗しやすい。
研究によると、こうした予測能力の問題は、よくあることのようだ。従って、エコノミストのあいだで「確実な展望」が広まっているときは、それを信頼できる逆張りの指標にできる可能性がある。
ということで、100%保証しよう。エコノミストに共通する「不況間近」という展望は、不況が近づいていない証拠である。
前兆その3──メディアが、不況は目前だという見解で統一されていない
メディアがその関心を、投資に関する共通のテーマに絞るときはいつでも、投資家たちの一般的な見解が反映されている。「一般的」見解がかならずしも逆張り的な指標だというわけではないが、極端に偏った場合(楽観的あるいは悲観的といった強い感情に支配されているとき)は、そうなる可能性がある。
メディアが現在、注目している内容を見るかぎり、大勢を占める悲観的な見方は、不況は目前というものだ。そう報じる記事は山のようにあるが、新たな情報を提供しているものはほとんどない。それどころか、ありきたりの論拠に、最新の経済リポートや引用をいくつか盛り込んで書き替えた記事が多い(結論は、相も変わらず不吉なものだ)。従って、不況が迫っているというメディアの総意は、逆張り的な指標のレベルに達しており、不況が近づいているという意味ではない。
その上、今回の決算期は、株価の上昇と収益報告書の明るい内容に伴って、投資家感情と、不況が到来しそうだとする報道内容を逆転させるきっかけになる可能性が高い。
ということで、100%保証しよう。「不況は近い」というメディア報道と投資家の一般見解は、不況がやってこない証拠である。
結論
予測が当てになることはめったにない。特に「100%確実な」予測は信用ならない。しかし、「不況は間近か」という点について言えば、上述した3つの前兆から見て、そのリスクはゼロと言ってもいいくらいだ。
楽観的な見方が広まり、これまで流出していた分が株式ファンドに戻り始める前のいまこそが、株の買い時であることは言うまでもない。