ライバルはディズニーランド、異色のオーナーがBリーグで目指すもの


山野氏は、1、2カ月に1回、選手を集めてミーティングをしているといいます。そこでは社会人としての心構えやお金の話もすると言います。

「お金の使い方の話もします。ちょっと有名だからって周りからおごってもらったりして、盛り上がっちゃっていると、すぐ終わるよって。選手というブランドが剥がれた瞬間、選手のお前はなくなる。それを理解しておかないとダメだよって。もう、これは人生のコーチですよ。でもある時期を一緒に過ごすのですから、教育することも必要だと思うのです。

いまはアスリートのセカンドキャリアを支援する事業がある。セカンドキャリアという口当たりのいい言葉で、特別扱いのような雰囲気があります。でも、基本は自分で考える、それがベースだと思うんですよ。考えるきっかけとして、支援事業とかをチームが紹介していくというのはもちろんいいと思います。でも、最終的には自分で考えるというのが当たり前だということを、僕は選手にわかってもらうことが大事かなと思っています」

山野氏は、自らのチーム、そしてBリーグも、経済界の1プレーヤーとして認められ、共生していけるようにしていきたいとも言います。さまざまなジャンルの企業に認められ、あくまでも支援の対象ではなく、対等な仲間として認められ、同じ土俵でビジネスをしていきたいと考えているのです。

さらに、ディスニーランドのような場を目指すため、バスケというスポーツだけでなく音楽やパフォーマンスと融合しエンターテインメントと共生していくことも重要になります。

そして、もうひとつ、地域の中での共生も挙げています。地域の中では世代間のギャップもあれば、同じ土地のなかでも異なるカルチャーがあったりする。その中での共生を、アースフレンズ東京Zが取り持つような役割になりたいと考えています。

「ビジネス、エンターテインメント、地域の3つのくくりで、スポーツチームのアースフレンズ東京Zとして、多様性という部分をうまく発揮できていければいいなと思っています。垣根をつくらない、いや垣根を壊すような存在でありたいと願っています。それがプロスポーツチームとしての役割だと思っています」



山野氏の話を通じて感じたのは、常にチーム、そして選手の自立を目指して、さまざまな戦略を立て、実行に移しているということです。まさにベンチャー企業のような経営。自由な発想と、実現すれば大きなインパクトをもたらすムーンショット的な目標が、アースフレンズの魅力だと思います。だからこそ、関わる人たちをワクワクさせてくれる熱量と大きな愛を感じました。スポーツ界に変革を起こす可能性もあるのです。

そして、その先には、世界をも射程に入れています。

「僕は、今は世界で活躍できる選手を育てていきたいと思っています。うちから出た選手がNBAの試合とかワールドカップの決勝とか出場して、そういう世界の舞台で活躍する姿を観ながら、みんなで美味しいビールを飲む。たった1分でもいいです。そんな瞬間をみんなで味わいたいというのが、僕のなかでのいちばん大きな夢です」

連載:エリックのInnovation and beyond
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文=松永 エリック・匡史

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