ライバルはディズニーランド、異色のオーナーがBリーグで目指すもの

アースフレンズ東京Z 山野勝行オーナー


「僕らは東京23区のど真ん中でやっているので、どう考えても最大のライバルはディズニーランドなんですよ。あちらは無敵の帝王みたいな感じで、お客さんは何度でも出かけるわけじゃないですか、料金も安くないのに。そんな異業種にライバル心を抱いていかないと駄目なのですよ。同じスポーツ業界に限っていては、ビジネスとしては伸びていかない。
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ディズニーランドはいわば広い視野を持つということの象徴です。今これが流行っているなとか、こういうサービスが受けているんだとか、とにかく先入観に囚われずマーケットを考えることがいちばん大事じゃないかと思うんです」

従来のスポーツという枠を超えて、まさにイノベーションを起こそうとしている山野氏、やはり自らのキャリアを生かして、ビジネスという視点でスポーツの未来を考えています。

「日本においては、スポーツは支援するものというイメージがこれまでは強かったように思います。スポーツとはお金を儲けるものではなく、企業や行政が投資や税金で支援してあげないと成り立たないというのが、これまでの考え方でした。
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それはそれで素晴らしいことだとは思いますが、今後の流れとして、自己採算で負債にならず、独立してやっていけるというモデルを増やしていくことが、これから未来のスポーツに求められていると考えています。

いま、2020年のオリンピックですごくスポーツ界は盛り上がっていますが、終わるとまたシュンとなってしまう。そこで、いちばん重要になってくるのが、どうこれをきちんとしたビジネスに結びつけていくかだと思っています」



世界で活躍する選手を育てたい


そんなビジネス的視点でスポーツを捉える山野氏ですが、話を聞いていて、興味を引かれたのは、選手教育についての話でした。さまざまな場でスポーツ選手のセカンドキャリア、つまり引退後の就職が難しいという問題についての議論がされますが、山野氏は「セカンドキャリア」という言葉自体がスポーツ選手にとってはよくないことだと言い切ります。

「2部の選手なんかは、引退して普通に一般企業とかに就職すると、ただの一社員になるわけじゃないですか。そこで偉そうにふてくされていたらどうしようもない。バスケットボールを通して何を学んできたのかと言われてしまう。まさにその人の社会性が問われるわけで、そういったときに恥ずかしくないように、それを教えてあげるのもチームの役目だと思っています。

とにかくスポーツ選手を特別視しないというのが重要だと思っています。選手というのは一つの職業なのです。個人差はありますが、一般的な人と同じようにキャリアや生き方に対する不安を持っています。選手の時代に変に甘やかすことによって、逆に選手を弱くさせるし、同時に社会に出たときに苦労する」
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文=松永 エリック・匡史

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