ライバルはディズニーランド、異色のオーナーがBリーグで目指すもの


前述しましたが、実際にアースフレンズの試合を観戦して感じたのは、音響、照明、音楽、DJなどが駆使され、試合の合間にもショーが演じられ、エンターテインメントとして成り立っているということでした。

「スポーツって、勝てば幸せというところがあるのですが、勝てなくても『惜しかったな、また来たいな、この空気が良かった』というストーリーをつくれれば、感動を持ち帰ってもらうことができるわけで、負けてもエンターテインメントになるのです。それが大事だと思いました」と山野氏は言います。

「うちのチームには、Zgirlsというパフォーマンス集団がいて、試合中に何度か衣装を変えるのですが、その着替えによって会場の雰囲気が変わったりする。負けていて点差が開いているときに、彼女たちに笑顔で一生懸命パフォーマンスをしてもらうと、観ている側も、よし、もうちょっと盛り上がっていこうかということになるのです」

つまり、勝ち負けを超えたエンターテインメントが存在することが重要だと、山野氏は語ります。

さらに、スポーツという総合的なエンタメを楽しむ場としての施設を整備するために投資していくことも、ビジネス上で欠かせないポイントになっていくるようです。それには資金力も必要になってくるので、なかなか難しい現実もあります。



山野氏のチーム、アースフレンズ東京Zは、昨季が22勝38敗、その前のシーズンは20勝40敗で地区最下位だった。しかし、観客は年々増え続けています。

「成績でいったら、1年目がいちばんよくて、この5年間下がりっぱなしです。でも、観客は増えていて、ファンクラブも大きくなり、売上も右肩上がりです。スポンサーの企業数も増えているし、負け試合が多くなっているにもかかわらず、ありがたいことです。

チームはまだ2部ですが、Bリーグを観ようとなると、1部のチームの試合を観に行くわけですよ。じゃあ、2部のチームの売り物ってなんなのかというと、僕はまさにベンチャーストーリーだと思うんですよ。少しずつ成長していく姿にファンも自分を重ねてくれるのです。

勝ち負けを超えて選手の諦めない姿勢、チームとファンが一丸となって世界を目指してチャレンジするストーリーが人を惹きつける。僕らはまさにベンチャーストーリーをエンタメにしているんです」



マーケティング的には、サッカーのJリーグとよく比較されるBリーグですが、山野氏は、「アースフレンズ東京Zのライバルはディズニーランドだ」と公言しています。
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文=松永 エリック・匡史

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