試験飛行は、超長距離便が乗客にもたらす身体的影響などを調べることが目的。この直行便のチケットはまだ販売されておらず、2022年の就航に先立ち行われた今回の試験飛行では、乗客がどれほど機内を動き回るか、何を食べるか、どのくらい眠るかなどの行動を分析するため、ニューヨーク発シドニー行きのフライトに40人が搭乗した。
機材はボーイング787-9型だが、カンタスは同航路を採算の合う物にするべく、エアバスとボーイングの両社に現行モデルのA350型と777X型の改良を求めている。
長時間フライトが体にもたらす影響は?
超長距離便はここ数年で増えている。飛行機の燃費向上と直行便への需要増加を受け、シンガポール航空は既にA350-900ULR型を使って米ニューアーク発シンガポール行きの19時間の直通便を運行している。
一方カンタス航空は、昨年からパース・ロンドン間を結ぶ17時間の長距離直通便を運行してきており、1~2時間の追加は大したことはないと思えるかもしれない。しかし、健康意識の高い利用客は、こうした長距離を一度に飛行する際に生じるさまざまな問題について考えるべきだ。
深部静脈血栓症(DVT)
長時間座ったままでいると、脚などに血栓ができやすくなる。長距離便では定期的に客室内を歩いたり、さまざまな運動をしたりすることで、体中の血液がうまく循環するようにすることが推奨されている。これに加え、フライト中に脚がむくみやすい人は、着圧靴下を履けばむくみを最小限に抑えることができる。
脱水症状
飛行機に乗ると数時間後には肌がすっかり乾いてしまうため、水分補給が重要だ。機内の湿度は20%以下であることが多く、これは砂漠の湿度とそれほど変わらない。10時間のフライトでも、乗客は1.5~2リットルの水分を失ってしまう可能性がある。そのため、超長距離便では水分を十分に取り、できればコーヒーは飲まない方がよい。