拍手はもちろん、ビールという身近な存在で、世界へと羽ばたいた埼玉県の小さな会社に対しての称賛が込められてのもの。一方、驚きのほうは、同社がこれまでグランプリに選ばれてきた小さな企業とは、やや趣の異なる「ジャイアンツ」だったからだ。
食品製造の会社が初めて大賞に選出
「Forbes JAPAN SMALL GIANTS AWARD 2019-2020」関東大会は、9月30日、東京・日本橋の室町三井ホール&カンファレンスで開催され、大賞は、8月に行われた関西大会と同様、会場に詰めかけた一般参加者の投票で選ばれた。
これまで、このアワードのグランプリは、第1回が西陣織の技術を応用したIoTウェアの「ミツフジ」、第2回ではITを駆使した24時間無人稼働の生産管理システムを持つアルミ加工の「ヒルトップ」と、どちらかというと時代の最先端をいく小さな大企業が選ばれてきた。
第3回である今回のアワードは、関西大会、関東大会、その他の地域(北海道、東北、中部、中国、四国、九州・沖縄)の大会を経て、最終的に全国大会でグランプリが選ばれる方式だが、たとえ関東大会といえども、ビールという食品製造の会社が選出されたのは、かなりの驚きをもって迎えられたのは事実だ。
もちろん、いまや「小江戸」として多くの観光客が集まる埼玉県の川越にあって、ひたすらクラフトビールづくりに情熱を注いできたと語る朝霧重治社長の明快なプレゼンテーションと、ビールという身近な存在が会場の参加者たちの多くの支持を集めたと思われるが、そこには、第1回や第2回のグランプリ受賞の企業に見られた最先端の技術やシステムはない。
では、何が協同商事を「ジャイアンツ」たらしめたのか。そのヒントは、大賞発表の直前に行われた特別セッション「アドバイザリーボードが語る『私が注目する地域と企業』」に隠されていた。