今回のファイナリストを選ぶ際に、候補企業の推薦を依頼したマクアケの中山亮太郎社長、一般社団法人ベンチャー型事業承継の山野千枝代表理事、デロイト トーマツ ベンチャーサポートの斎藤祐馬社長による鼎談だったが、セッション中、こんなやりとりがあった。
(写真左から)マクアケの中山亮太郎代表取締役社長、一般社団法人ベンチャー型事業承継の山野千枝代表理事、デロイト トーマツ ベンチャーサポートの斎藤祐馬代表取締役社長、Forbes JAPAN編集長の藤吉雅春
中山:先日、関西大会でファイナリストとして登場した兵庫県の植山織物さんに興味が惹かれて、現地を見に行ったのですが、地域での繋がりが強いのですね。播州織という江戸時代から200年以上の歴史をもつ綿織物を中心にして、地域がまとまる。繋がり始めると一気に繋がる。そこで繋がった企業が、攻めの情報交換を行っているのです。
山野:西日本には多いのですが、熱量の高い人たちが集まって、前向きに相談し合う。このように濃いコミュニティができれば強い。目の前で見せ合っていくと、言い訳ができない。さらに、そのなかから地元のヒーローが生まれたりすると、自分もちょっと頑張ったらできるのではないかと、等身大のちょっと先に目標が見えてくるのです。
斎藤:私たちはもともと地方の会社をいかに成長させるかで事業を展開しているのですが、地域社会の課題をいかに企業で解決していくかが活力になっている。例えば福井が面白いのですが、100社くらいの企業がニッチ戦略の勉強会をしているのです。
中山:僕は埼玉県の出身なのですが、今回のファイナリストに2社(協同商事、石坂産業)入っている。こんなに素晴らしい企業が出てくるのは、嬉しいですね。
山野:「地方」というキーワードが大切ですね。今回で言えば、協同商事さん。ビールが触媒となって、地元の埋もれている価値を発見している。刺さりましたね。
スモール・ジャイアンツを育む「地方」というキーワード
実は、「地方」あるいは「地域」というイシューは、関西大会でもアドバイザリーボードの間で話題に上がっていた。ファイナリスト7社のなかに、大阪府八尾市の会社が2社入っていたのだ。そして、それらの地元企業を繋いでいたのが、八尾市役所の経済環境部産業政策課の松尾泰貴係長だった。来場していた松尾係長を、前回のファイナリストである木村石鹸工業の木村祥一郎社長が「変態な行政マン」と紹介したのが印象的だった。