ウィーワークの共同創業者であるニューマンの資産の急落は、コワーキング事業を手がける同社がIPO計画を撤回したのを受けてのことだ。ウィーワークは米証券取引委員会(SEC)に上場申請を行った47日後に、その計画を中止した。
非難の高まりの中でニューマンはCEOを辞職したが、今も創業9年の同社の株式の推定18%を保有している。ニューマンが初めてフォーブスの世界の富豪リストに登場したのは2016年のことで、当時の保有資産は15億ドルとされた。
彼は当時36歳で、ウィーワークは個人投資家らから100億ドルを超える評価を受けていた。その後の3年間で、日本の通信業界大手のソフトバンクが複数の投資ラウンドを通じて、さらに数十億ドルを注ぎ、同社の企業価値は今年1月に470億ドルに達していた。
「ウィーワークは大規模な営業チームを持たず、巨額なマーケティング費用も投じずにオーガニックな成長を遂げたが、その事を自慢に思うべきではないとアダムに話した」と、
ソフトバンクグループの孫正義会長は2017年にフォーブスの取材に述べていた。
「当初の計画よりも10倍の規模に事業を拡大させるんだ。その考え方でいくと、現在の企業価値は低い」と孫は話し、「数千億ドル単位の企業価値も見込める」と続けた。
しかし、ニューマンは株式市場の投資家らを、孫と同様に魅了することは出来なかった。ウィーワークの上場申請書類には、同社のキャッシュが来年の中頃までしか持たないことが示されていた。IPOのような大規模な資金注入を行う、もしくは大幅なコスト削減に踏み切らない限り、2人の共同CEOらは破産を免れないと複数のアナリストらが指摘した。
ニューヨークとフロリダで10ヶ所以上のコワーキング施設を運営するQuest Workspacesの創業者でCEOの Laura Kozelouzekは「ウィーワークは収益化に向けて事業を立て直す必要がある」と述べた。
社用ジェット機も売り払うべき
「事業規模の縮小が妥当だろう。社用のジェット機も売り払ったほうがいい。ただし、景気の先行きが危ぶまれる中で、彼らが厳しい状況から抜け出すのはかなり難しい」とKozelouzekは続けた。
フォーブスはウィーワークの運営元のウィーの企業価値を現在、最大でも28億ドルと試算している。これは同社の競合で「リージャス」を展開する上場企業IWGの売上との比較から導いた数値だが、今後起こりうる資産売却やキャッシュフローの減少を考慮に入れ、ディスカウントを加えている。
ウィーワークの今年1〜6月期の営業損失は13億7000万ドルだった。
フォーブスはニューマンの保有資産を、彼が保有するウィーの株式をベースに試算し、そこに株式の売却で得た5億ドルをプラスし、3億8000万ドルの負債を除外した。算定にはウィーの上場申請書類に記載された金額を用いた。ニューマンが最後に株式を売却したのは2017年の10月とされている。
しかし、ニューマンがそれ以前の資金調達の際に株式を売却していた可能性もある。その場合は、彼の保有資産は今回の試算を上回ることになる。