「デザイン経営」の本質を考える


──デザインの価値を最大化するためには、まずはデザイナーの採用を増やすべきではないかでしょうか?

「私は『デザイナーを増やすこと=デザイン作業を高速化するわけではない』と思っています。それよりも、デザイン作業を高速化するためには、例えばデザイナーが会議ばかりに引き込まれないように『上空援護』してくれる人が必要です。私たちのデザインプログラムマネージャーは会議に参加し、内容をデザイナーにフィードバックしています。デザインチームとプロダクトチームの中間点となり、デザイナーは作業に集中でき、プロダクト側に予定どおりに納品できるようにプロセスを管理します。デザインプログラムマネージャーがいるからこそ、多くのデザイナーを採用することができ、デザイン作業が高速化できています。」(マイロルド)

アドビのDesign Opsの歴史

──そもそもですが、アドビはいつごろからDesign Opsを取り入れ始めたのでしょうか?

「最初にデザインプログラムマネージャーが現れたのは2006年頃でした。デザイナーやデザインリーダーのパートナーとして互いに協力し合い、今日のように全社的に影響力を持ち始めたのは、ここ5〜6年のことです。

導入した当時、私はデザインディレクターでした。そして導入に反対していました。デザインリーダーだけが、デザインプロセスや仕事のやり方をコントロールできると思っていました。しかし、デザインプログラムマネージャーのスプレッドシートを操る能力や、エンジニア側のプログラムマネージャーとのコミュニケーション能力のおかげで、魔法のように課題が解決するのを体験しました。体験しないと価値を理解するのは難しいのかもしれませんが、今では私の組織にDesign Opsの機能がないことを想像することもできません。」(マイロルド)

──最初のデザインプログラムマネージャーが生まれたきっかけはなんだったのでしょうか?

「あるデザインディレクターが、プログラムマネジメントをデザイン組織に追加するように進言したのです。上司はひとりだけ担当を置くことを承諾しました。彼は、自分が担当するプロダクト分野のエンジニアリングプログラムマネージャーを候補者としてあげました。彼女は非常に有能で、言われたことだけを管理するのではありませんでした。彼女は自ら声をあげ、そしてその結果どうだったか反応を求め、私たちはそれに答えました。」(マイロルド)

──最初のひとりから、どのようにしてDesignOpsチームへと成長したのですか?

「最初のデザインプログラムマネージャーの貢献で、デザインディレクターやデザインマネージャーたちが『まるで世界が変わったようにデザインに集中できる』と言うようになり、プログラムマネージャーの必要性が認知され始めました。

プログラムマネージャーの人数を増やし、彼らを集めて組織化するにあたり、誰かを管理職に昇進させる必要がでてきました。それが管理職と私たちとの間に、本当に強い関係を確立することになりました。 デザインプログラムマネジメントが、役員や組織に貢献することが事実化したのです。価値を証明し、適切な人を雇い、ある程度の規模になったら組織として管理職を置く。そうするとまるで魔法のように成長できるのです。」(マイロルド)


Premiere Pro

文=リー・コーリー

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