落し物の防止、紛失物を探し出してくれる優れものアイテムの利用が広まりつつある。
現在、国内におけるこのよう紛失防止デバイスとして一番に名前が挙がるのは、「MAMORIO(マモリオ)」だ。
マモリオのタグが付いた紛失物が届くと、所有者であるユーザーに知らせてくれる「マモリオサービス」は全国に範囲を広げ、関西では大阪メトロや京阪電気鉄道で6月から、7月には東急電鉄の全線88駅に「マモリオスポット」が設けられた。
日本においては、マモリオの市場シェアが優勢だが、アメリカでは「Tile(タイル)」が、シェアの9割を占めている。
紛失物を探す大枠の仕組みはマモリオと同様だが、タイルはスマートフォンと連携をさせておくことで、Bluetoothに接続をして音を発する。
スマートフォンを失くした時は、タイルを操作することでスマートフォンが大音量の音を発し、専用アプリ上で位置情報を確認することができる。
iPhoneにも「iPhone を探す」というサービスはあるが、充電が切れていたり、オフライン状態にあると、最新の位置情報を更新できないのが弱点。
一方、タイルの電池寿命は長いもので約3年間保つので、そういった心配がない。
シール型や、財布やパスポートに収納ができるカード型など、10月18日に日本で新製品を発売するタイミングで、同社CEOのCJ Proberが来日、今後の日本での展開について次のように語った。
「現在、アメリカ発のタイルは世界230の国や地域で使用されています。この世界的なシェアの高さで実現するコミュニティの力と、数を増している他社とのパートナーシップを強みに、日本での普及をさらに拡大できると確信しています」
タイルの「コミュニティ」とは、ユーザー数の多さを生かしたコミュニティ。自分のタイルから発信されている電波を、他のユーザーのタイルが受信し、その位置情報を所有者のアプリに通知することで、紛失物の位置を確認することができる。
つまり、Proberが言うように、シェアが高く、ユーザーが増えれば増えるほどコミュニティは強化され、紛失物が見つかりやすくなる仕組みだ。
また、日本全国の鉄道会社や商業施設との連携を強めるマモリオに対し、タイルはメーカー各社とのパートナーシップの強化を図っている。
半導体(Bluetoothチップ)メーカーの「Qualcomm」や「東芝」、音響機器メーカー「Bose」などの大企業から、創業から3年の内に世界40カ国で約100万個のスーツケース売り上げたNYの「AWAY(アウェイ)」などのスタートアップなども含め、現在タイルは約20社とのパートナーシップを結んでいる。
今後は、それらの企業から、タイルが搭載されたアイテムが製造され、順次店舗やオンラインで発売される予定だ。
このような戦略で、日本でのシェア拡大を狙うタイルは、果たしてどこまで日本を席巻できるだろうか。