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ボールのヘイズCEOは、金融マン時代に大怪我で入院。同僚が顔も見せない中、ボールの重役がクルマで4時間もかけて見舞いに来たのがきっかけで同社に転職したという。

生物が飲み込み、人体にも悪影響が──。プラスチックによる海洋汚染が社会問題化している。そんななか、すでに“過去のもの”と思われていた意外な製品が米国で再び注目を集めている。


米コロラド州ゴールデンにあるボール・コーポレーションは、1880年代にガラス製の食品貯蔵用ビンを作って名を馳せた。

ところが今日(こんにち)、約1万3500坪あるボールの工場では、1日600万本のフタ付きの缶を製造・出荷している。そのすべてが、なんと「アルミニウム製」である──。

ボールでは米政府向けの航空事業を除き、116億ドルの売り上げをビールや清涼飲料水用のアルミニウム缶製造から得ている。調査会社バーティカル・リサーチは、(買収コストなどを調整した)ボールの今年度の利益が昨年比13%増の8億7600万ドルに達する、と予測している。

「この会社に来て20年経ちますが、これほどの成長は見たことがありません」と語るのは、ボールのジョン・ヘイズCEO(53)だ。同社はプラスチック事業に3度の挑戦と失敗を繰り返してきたが、アルミニウム事業は定着する、とヘイズは自信を見せる。実際、2011年に彼がCEOに就任して以降、株価は3倍に伸びている。

時代もボールの味方をしているようだ。確かに、ペットボトルは米国内だけで年1300億本と、缶の1.5倍も製造されている。しかし調査会社IRIによると、14年には新規飲料メーカーの32%が製品の容器に缶を選んでいる。その割合は18年には61%に上がっている。

環境保護の面でも追い風が吹いている。米国内でリサイクルされる容器の割合は、ガラスが42%、プラスチックが30%であるのに対してアルミニウムは50%。そしてヘイズは「サステナビリティ(持続可能性)の重要性は高まる一方だ」と指摘する。

若い消費者の間で「缶は格好いい」と流行っている点も大きい。エネルギー飲料「レッドブル」のデザインを見て育った世代にとって、缶は新しいのだ。祖父母の世代が愛した缶を嫌って、プラスチックに移行した親世代。それが一周して、ミレニアル世代が缶に戻ってきつつある。

文=クリスティン・ストラー 写真=ティム・パネル 編集=Forbes JAPAN編集部

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