そうした中、近年問題となっているのが「在留外国人の入居お断り」だ。法務省が2017年行った委託調査の結果によれば、過去5年間に家を探した外国人の39%が言語の違いや保証人不在などを理由に入居を断られているという。
そんな問題を解決すべく、外国人向けの賃貸物件契約手続きを多言語かつオンラインで完結できるプラットフォーム「AtHearth(アットハース)」を手がけるのがアットハースだ。同社は9月30日、ジェネシア・ベンチャーズ、エンジェル投資家の芝山貴史から総額4100万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また今回の発表に併せてサービスも正式にリリース。今後、人材採用、管理物件獲得を強化し、事業を推進していくという。
国際シェアハウスの運営を通じて感じた課題
アットハースの創業は2015年。代表の紀野知成は在学中、米国に留学。また新卒で入社した三菱商事ではエネルギー商材の投資案件でフランス駐在を経験した人物。「留学と駐在の経験を通じて世界各国の住宅事情について学べた」と紀野は語る。
2014年に駐在から帰国後、紀野は海外帰りの日本人と外国人向けのシェアハウス「Tokyo Hearth」を設立。この背景には留学での出来事が大きく関わっている。
「高校の頃、ノースキャロライナの高校に1年間交換留学しました。自分はアジア人だったこともあり、初めて人種差別を経験しました。当時、現地のコミュニティに馴染むのに苦労したこともあり、世界を行き来する人たちにとって落ち着ける、人種や国籍の偏見無しで接し合えるコミュニティがあったらいいなと思ったんです」(紀野)