「Tokyo Hearth」は、18部屋に対して毎年400人ほどを集客。稼働率は95%を記録するなど人気だった。「テラスハウス」の放送が始まっていた追い風も有り、確かな需要と事業の可能性を感じた。
その後、紀野はシェアハウスも運営しながら、GLナビゲーションの執行役員として東京国際大学で400人強の外国人学生のインターンシップ、就職支援やVISA支援なども手がけた。不動産、人材斡旋、VISA支援などの知見を溜めていく中で、Tokyoから暖炉の前(Hearth)の様な居心地の良い国際住宅空間を作ると決意し、2015年にアットハース(当時:東京ハース)を設立。1600人以上の外国人向け住宅の企画・施工・運営を4年間行った後、在留外国人と管理会社の双方における課題を痛感し、現在の事業アイデアに行き着いた。
内覧・決済・契約が最短3日程度で完了
AtHearthは前述の通り、外国人向けの賃貸物件契約手続きを多言語かつオンラインで完結できるプラットフォームだ。首都圏の賃貸物件空室率は約34%と年々増加傾向にあるものの、在留外国人のスムーズな受け入れ体制は十分に整備されていない。
紀野はそこに目をつけ、物件管理のオーナーが抱える課題「仲介、管理、企画、施工」などをサポート。そして入居希望者が抱える課題「問い合わせ、内覧、申込、支払い、入退去」などをサポート。「両者を総合的にサポートすることがアットハースの強み」だと紀野は言う。
これにより、在留外国人はニーズに合った物件の検索・契約手続きを母国語で進めることができる。「またアットハースの代理保証・保険のみならず、水道光熱費・WiFi契約、銀行口座開設など、生活に関わる全てのサポートが受けられるので、安心して日本での生活を開始できる」(紀野)という。
また、物件を提供する不動産オーナー・管理会社は多言語による集客、内覧、契約、支払い代行をアットハースに委託することで、入居者の幅が拡大。社会問題となっている「空室率」を大幅に下げることができる。
また紀野は「入居希望者はパスポートや在留許可証等の必要書類を揃えた上で、重要事項説明や面談などがオンラインで受けられるので、従来約1ヶ月間必要だった内覧・決済・契約までの日数が最短3日程度にまで減らせる」と言い、オンラインで事業を展開するアットハースならではの強みになっているとのこと。
すでにトライアルを通じて、大手企業勤務の外国人就労者や留学生への賃貸仲介実績を積んできているが、今回の資金調達を通じて、さらなるサービスの拡大を図っていくという。