現在、DeNAのオフィスでは、高性能なイスが使えたり、ヘルシーなお弁当を食べられたり……。「健康経営」の取り組みとしていろいろな施策を進めてきた結果、社員が働くためのサポートが充実しつつあります。
4年にわたり私が試行錯誤してきたそれらのなかで、とくに効果が高く、他の会社でも取り入れていただけそうな施策は何か。今回は5つほど紹介したいと思います。
前後左右に動くイスの活用
まず、私がオフィス環境でもっとも大事だと思ってる「イス」についてです。最近ではスタンディングデスクなどを活用して座らない人も増えてきていますが、まだまだ大多数は座って仕事をしており、中には1日のほとんどを座っている人もいるでしょう。
しかし、アメリカがん協会をはじめとして、座りすぎによる疾病リスクや死亡率の上昇についての論文はいくつか発表されていて、世界的にも座りすぎを問題視する傾向が強まってきています。私も、重い症状には進んでいなくとも、イスとの相性により腰痛や肩こりなどのリスクはあるのではないかと考えています。
DeNAでは、過去、複数のメーカーやオフィス家具のコンサル会社とコラボレーションして、座り方についてのセミナーなどを行ってきました。その結果、社内にある多機能チェアの調整をはじめ、個々人に合った座り方を工夫するようになりました。
例えば私の場合、座面が前後左右に動く少し変わったイスに座っています。集中したいときはフラットな状態にしていますが、アイデアを膨らませたい時は座面を積極的に動かし、あれこれ考えます。また、長時間座りすぎて腰に疲れを感じたときなども、座面を揺らして血流を促すなど、このイスだと状況に応じて使い分けることができるのです。
PCモニターの位置は適切か?
次に、簡単にできて、効果が高いのが、パソコン画面(モニター)の高さ調節です。ノートパソコンの場合は、画面が頭の位置よりも低くなるため、猫背や首を曲げた姿勢になりやすく、体に過度な負担をかけがちになります。それを防ぐために、ノートパソコンの下に雑誌を置く人や、専用グッズを活用する人もいます。
しかし、最近では、作業面の傾斜を変えることで、体に負担が少ない姿勢をとりやすいデスクも登場してきました。これは、社内のあるエリアに設置したところ、とても評判がいいようです。
アスリートや武道の達人のように、自分の姿勢に常に意識を払い、座り方を整えることに集中していられれば問題ないのですが、そうではないわれわれは、やはり道具の助けを借りたほうがよいかもしれません。
「パワーナップ」で生産性アップ
3つ目に取り上げたいのが仮眠室の設置です。ここ数年で、15分間ほどの仮眠(パワーナップ)が生産性向上に役立つということが広く知られるようになってきましたが、自分のデスクでは周囲の目が気になり、なかなか眠りにくいという声がありました。そこで、気兼ねなしに仮眠を取れるような場所を設置したのです。
生産性向上に繋がるならばと、大きな仮眠部屋を設け、ハンモックや簡易ベッドを設置している企業もありますが、それほど大げさなものではなく、パーテーションで区切られた個室にリクライニングチェアを置くだけでも十分です。このような取り組みは、社員のロイヤリティやエンゲージメント向上にも繋がります。