体を動かす眠気覚ましも
4つ目の取り組みは、オフィスの一角に簡単な運動ができるスペース(ウェルネスエリア)を設置したことです。私がもっとも注力している腰痛対策の一環として設置したもので、同スペースでは懸垂や体幹ストレッチ、筋膜リリースなどの運動が気軽に行えるようにしています。
仕事のフロアを大胆に使う思い切った施策でしたが、2年前の設置当初はほとんど利用者がいませんでした。しかし、地道な声掛けの甲斐もあり、いまでは覗けばいつも誰かしら利用しているような、密かなリフレッシュスポットとなっています。
利用者の声を聞くと「懸垂を3回すると眠気が覚める」とか「体幹を動かすようにしたことで腰痛から解放された」とか、たった5分間ほどの利用でも、コンディション的にはポジティブな効果が得られているようです。
フィットネスジムにあるような本格的な筋トレマシーンを設置されている企業もあるようですが、ちょっとした運動器具でも十分なこともわかりました。利用者のなかには、二日酔いの朝に少し汗をかき、アルコールを抜く人もいるようです(笑)。
「ウーバーコンディショニング」とは
5つ目として補足的ではありますが、人的資源の活用もオフィス環境改善につながります。DeNAでは理学療法士による社内巡回を行っています。忙しく働く人に向けてその場で、マンツーマンで姿勢へのアドバイスや体の状態に合わせた体操を紹介し、良好なコンディショニングに導くというものです。
私は勝手に、“ウーバー”に引っ掛けて「ウーバーコンディショニング」と呼んでいます。こちらの利用者はすでに500人を超えています。これは個人的な野望にもなりますが「DeNAで働いている人はみんな姿勢が美しい!」と言われることを目指して、カウンセリングや体操の奨励につとめています。
以上、一部にはなりますが、DeNA内で実施し、働く人のパフォーマンスアップに繋がっていると思われる取り組みを紹介しました。
さて、最後に、これからの健康経営の取り組みのなかで検討をおすすめしたい先駆案も紹介しましょう。社員がより健康的に働ける環境づくりとして、私が新たに考えているのがオーラルケアです。具体的には歯周病や口臭リスクの低下につながるフロスの利用です。
オフィスにおいては、口内環境は比較的軽視されがちですが、1日の大半を過ごす社内にフロスの利用を普及させることで、朝の眠気解消や疲れたときのリフレッシュ、ひいては生産性アップにもつながるのではないかと考えています。この取り組みは歯科クリニックとの連携が必要なため、オフィスビルに歯科が入っている企業の方は、ぜひ先取りしてみてはいかがでしょうか。
連載:ポテンシャルを引き出すライフスタイルのコツ
過去記事はこちら>>