アマゾンが配送に採用するEV(電気自動車)バンは、ミシガン州本拠のEVスタートアップ企業「リヴィアン(Rivian)」が製造する。最初の1万台は2022年までに配備され、残りの車両は2030年までに納車予定という。
アマゾンはリヴィアンに既に巨額の資金を出資しており、2030年までに10万台の電動配送車が稼働した場合、年間400万トンの二酸化炭素削減が可能になると述べた。
「Climate Pledgeの実現に向けてアマゾンは、4億4000万ドルをリヴィアンに投資した」とベゾスは述べた。
アマゾンのリヴィアンに対する投資額は今後、少なくとも40億ドル(約4300億円)規模に達するとみられ、電動の商用車向けの出資額としては、米国史上最大の規模に達することになる。
ベゾスの今回の宣言は、ドナルド・トランプ政権が、オバマ政権が定めたガソリン車の燃費規制を緩和し、カリフォルニア州などから独自の燃費基準を策定する権利を奪おうとする動きに反発する形で行われた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)出身の36歳の起業家、RJ Scaringeが創業したリヴィアンは昨年、世界初の完全電動のピックアップトラックであるR1T Truckや、7人乗りの電動SUV車両のR1Sなどを発表し、フォードからの出資も受けている。
リヴィアンは先日、自動車関連サービス企業の「コックス・オートモーティブ(Cox Automotive)」から3億5000万ドル(約377億円)を調達し、累計資金調達額は20億ドルを突破していた。
「仮にリヴィアンがアマゾンに10万台を納車した場合、現在は小規模なスタートアップに過ぎない同社が強固な基盤を築くことになる」と、調査企業ガートナーの運輸テクノロジー担当のMike Ramseyは述べた。
フォーブスの取材にリヴィアンは、「現時点ではアマゾン以外の企業向けに、電動配送車を納車する予定は無い」と述べた。同社の広報担当者は、初期のユニットの納車が2021年になると述べた。また、アマゾン向けの車両の製造により、2020年後半に発売予定のピックアップトラック「R1T」と、SUV車両の「R1S」の製造が遅延することは無いという。
リヴィアンはアマゾン向けの電動配送車の製造コストに関しては、回答を避けた。
トランプ政権は2017年にパリ協定からの離脱を宣言したが、米国の10州及び287都市と351の大学や企業らが、パリ協定が定める目標の達成に向けて努力している。アマゾンが掲げるClimate Pledgeは、2040年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにすることを目標としている。
「アマゾンは年間100億アイテム以上を配送している。これほどのスケールの企業が、パリ協定で定められた目標を10年前倒しで達成できるとしたら、他のどんな企業にとってもこの目標が不可能ではないことになる」とベゾスは述べた。