日本のソフトバンクグループやその他の個人投資家たちは、上場前の企業にますます多額の資金を提供し、それらの企業の価値を大幅に引き上げている。そして、ばかばかしいほど高い評価額で企業の新規株式公開(IPO)を実現させ、人々のだまされやすさを利用して、IPO株を買わせている。
IPO投資を考える人たちにとっては残念なことに、収益性を高めるための道筋がなく、成長の鈍化に苦しむことになる企業の株の購入には、痛みが伴う。上場を実現した配車サービス大手ウーバーとリフトが、そうした企業の例だ。
ただ、これら2社に関して多くの投資家が犯した間違いは、大きな役割を果たすことになった。「世界の意識を高める」ことを企業理念に掲げるおかしな社名の「The We Company(ウィーカンパニ―)」は、IPOを少なくとも10月まで延期することを決定した。
投資家たちが学んだこと
IPO投資家たちに処方箋として示せるのは単純に、「収益性の高いビジネスモデルを確立した企業だけに投資すること」だ。
投資家たちは、シェアオフィス事業を手掛けるWeの売り込みに対して、乗り気の反応を見せていなかった。投資銀行家らは今年に入り、上場時に想定される同社の時価総額を470億ドル(約5兆円)としていたが、最近になってその金額を、100億~150億ドルに引き下げていた。
IPO時にWeに投資すべきでない説得力ある理由のうち、最も注目すべき点は、損失額が売上高とほぼ同額に上ることだ。最高経営責任者(CEO)とその妻に会社の支配権を与えていることから、企業統治の問題もある。さらに、同社の顧客提供価値(利用者にデスクを貸し出し、アメニティを提供する)は、誰にでもコピーできるものだ。
ただ、公平を期すために言っておけば、ウォ―ル・ストリート・ジャーナルなどが報じているとおり、Weは8月以降、企業統治に関する見直しを進めてきた。筆頭独立社外取締役の選任と、アダム・ニューマンCEOの議決権を抑制することなどを発表している。