米国内では、政府当局が若者たちによる利用の禁止に向けた対応を急ぐべきとの圧力が一層高まっている。トランプ政権は、今後2週間以内にフレーバー付き電子たばこの「市場を一掃する」ための計画を発表するとしている。
ただ、その内容が最終的にどのようなものになるか(また、それが電子たばこのメーカー各社にどのような影響を及ぼすか)は現時点では不明だ。
「若者が好む」フレーバーに問題
CDCは9月11日、中高生による電子たばこの利用に関する予備調査の結果を発表した。データは毎年実施している「米国青少年たばこ調査(National Youth Tobacco Survey)」の一環として行われた調査の結果から得たものだ。
調査によれば、「過去1カ月の間に電子たばこを利用した」という高校生は、2018年には20.8%だったのに対し、今回の調査では27.5%に増加していた。若年層における電子たばこの利用は、ここ2年の間に急増している。CDCの調査では、2017年には10代の利用者は11.7%だった。
電子たばこのうち、10代の若者たちに最も人気があるのはフルーツやメントール、ミントなどのフレーバーがある「ベープ・ジュース」を使うものだ。調査に協力した回答者の60%が、過去に利用した経験があると答えている。
「ベーピング(リキッドを加熱して蒸気を吸引)」については、フルーツやミントのフレーバーが多くの若者たちにとって魅力的なものになっているとの批判の声が多い。トランプ政権が販売を禁止する方針を示した理由の一つには、こうした批判がある。
また、電子たばこについて批判的な人たちの中では特に、「JUUL(ジュール)」を問題視する人が多い。ペン型のスタイリッシュなデザインのジュールは、隠し持つことも簡単だ。
ジュールの広報担当者は11日、同社はフレーバー付きのリキッドについて「積極的な」対応を取る必要性があることに同意すると表明。政府が電子たばこに関する新たな方針を打ち出せば、それに従う考えであることを明らかにした。
CDCは同月6日、電子たばこの利用との関連性が疑われる肺疾患の患者450人と、死亡が確認された6人について調査を行っていることを公表。肺疾患の発症と死亡の原因が特定されるまで、電子たばこの利用を中止するよう呼び掛けていた。
たばこの喫煙者は減少
中高生の間で「ベーピング」の人気が高まる一方で、10代のたばこの喫煙者は減少しており、過去最低の割合となっている。喫煙の習慣があるという10代の若者は、わずか5.8%だ。
一方、10代の電子たばこの利用者は、2015年から16年にかけては約30%減少していた。その後、2017年から18年にかけて急増している(約80%増、中学生では約50%増加)。
公衆衛生の専門家らは、若者たちの間でベーピングが流行したことで、長年にわたって続けられてきた青少年の喫煙を防止するための取り組みが後退したと批判している。