デロイトが6月に発表した「グローバル自動車消費者意識調査」では、インドのミレニアル世代の半分以上が、車の購入や所有に疑問を感じていることが明らかになった。インドの人口は約13.4億人とされるが、その過半数の6億人が25歳以下の世代だ。
この結果は近年のインドにおける、自動車売上の減少を裏づけるものだ。インド自動車工業会(SIAM)が8月中旬に発表した7月の乗用車の販売台数は、前年同月比31%減で、18年ぶりの落ち込みとなった。
また、2019年の月ごとの乗用車販売台数は、全ての月で前年比マイナスとなった。インド市場で5割のシェアを誇るマルチ・スズキの7月の販売台数は、前年比36%のマイナスとなり、過去10数年で最悪を記録した。
今年7月のインドの乗用車販売台数は、前年比約31%のマイナスで、下げ幅は2000年以降で最大となった。
運輸業界のコンサルティング企業Valoriser Consultantsによると、この背景には自動車保険関連の法改正や、安全基準の引き上げにより、自動車の保有コストが上昇したことがあげられるという。一方で、シェアード・モビリティへの関心は高まっている。
モルガン・スタンレーは、インドが2030年までにシェアード・モビリティのリーダーとなると予測する。インドのライドシェア市場では、ウーバーやオラなどの大手が地盤を固めた一方で、小規模な現地のスタートアップも台頭を始めている。
カーシェア分野ではDrivezyとZoomcarが、若い世代からの支持を得ている。特にサブスクリプション型のレンタカーサービスで人気を博すのが、Zoomcarだ。
「インドの消費者は、維持コストをかけずに好きな車に乗れる、シェアード・モビリティへの関心を高め、この分野への投資意欲も高まっている」とZoomcarのCEOのGreg Moranは述べた。
インド市場でシェア2位の韓国の現代自動車も今年、3億ドルをオラに出資したほか、カーシェアリングのレブ(Revv)と提携し、サブスクリプションサービスを始動した。
さらに、シェア3位のマヒンドラ&マヒンドラは、EV(電気自動車)のライドシェアサービス「Glyd」を立ち上げたほか、Zoomcarに3億ドルから4億ドルを出資した。
自動車メーカらは長期的視野に立って、ライドシェア企業への投資を行っている。乗用車の販売台数の落ち込みが続く中で、インドが世界第4位の自動車市場のポジションを守るためにも、スタートアップへの投資を呼び込むことは必須といえる。