9月上旬、海外各メディアが報じたところによれば、グーグルが赤ちゃんの行動を観察し、異常行動を発見した際に親や保護者に知らせる技術を開発。すでに特許を申請したという。特許の内容は、赤ちゃんの目や動作、また音を追跡するシステムで、高画質動画監視装置とAIエンジンなどで構成されている。
特許申請されたシステムでは、複数の要素から赤ちゃんの「不快さ」を判断する。
例えば、赤ちゃんが体を何度も身体を反転させていた場合、暑過ぎる・寒過ぎるなど不快さを表すシグナルとなるが、それをシステムが判断するというものだ。また瞳孔や虹彩などを観察し、赤ちゃんが起きているか、眠っているかなど覚醒・睡眠状態を把握することができる。さまざまな分析データをもとに、仮に赤ちゃんが不快な状態であると判断すると親に通知が行く仕組みだ。
なお同システムは、グーグルが注力するだろうとされている「ベビーテック」の範疇に属する。グーグルの親会社アルファベットのライフサイエンス研究組織であるVerilyは、Logitechと提携。今年7月には、「Lumi by Pampers」(P&G)というスマート紙おむつシステムを発表している。これは赤ちゃんの睡眠状態やおむつの状態をスマートフォンで確認できるというものだ。
欧米では赤ちゃんを親と別室で寝かすという習慣があり、上記のようなモニタリング系のベビーテック開発が進んでいるとの見方もできる。一方、日本では基本的に赤ちゃんと親が行動をともにする習慣がある。
とはいえ、核家族化が進み、祖父母や親せき、また地域のコミュニティなど「赤ちゃんを看る目」が減ってきていることもまた事実。子育て世代の負担が高まるなか、関連テクノロジーおよびサービス需要は確実に高まっている。赤ちゃんの体調や状態を正確(人間のそれ以上)に「可視化」するというコンセプトは、日本の関連ビジネス市場においても応用・アレンジの幅があるはずだ。
将来的には、赤ちゃんや子どもの安全を見守る役割はAIが担うというと大袈裟かもしれないが、ひとつのツールとして有効活用していくことが期待される。
連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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