サンフランシスコ本拠の「hiQ Labs」は、リンクトインのデータをスクレイピング(抽出)し、分析するサービスを提供している。特定の企業の従業員の離職率や、要求されるスキルなどのデータをhiQ Labsは提供する。
リンクトインはhiQ Labsのアクセスをブロックする措置を講じたが、2017年に裁判所は、リンクトインに対し、アクセス制限を解除するよう命令していた。リンクトインはこの判決を不服としていたが、米巡回控訴裁判所は解除命令が妥当であるとの判決を下した。
巡回裁判所判事のマーシャ・バルゾンは「リンクトイン上でプロフィールを一般向けに公開している利用者らが、情報の取り扱いにプライバシーの配慮を求めているとの訴えは根拠を欠いている」と述べた。
「プロフィールを一般公開しているユーザーは、第三者によるアクセスを承諾したものとみなされる」
バルゾンは、プロフィールデータがリンクトインの所有物ではなく、ユーザー自身のものであると結論づけた。彼女はまた、hiQ Labsのアクセスを拒否することは、彼らのビジネスを閉鎖に追い込むと述べた。
これと同様な問題は、掲示板サイトのクレイグリストでも起きていた。2015年の裁判でも、クレイグリストに掲載された情報を外部企業が利用することの是非が議論された。
リンクトインは今回の裁判で、hiQ Labsの行為が1986年に制定された「コンピュータ犯罪取締法(Computer Fraud and Abuse Act)」に反していると主張し、ハッキング被害に遭っていると申し立てていた。
しかし、バルゾンはhiQ Labsがリンクトインのサービスに、タダ乗りしているとの訴えを却下した。「リンクトインは彼らが主張する他社によるタダ乗り行為を、自社の費用負担で阻止すべきだ。プライバシーを守りたいのであれば、一般公開のオプションを無効にすればよい」と彼女は述べた。
バルゾンによると、リンクトインが「スクレイピングされた」と主張するデータは、プライベートなものではないという。プライベートなデータは、閲覧にあたり何らかのパーミッションが必要になるものと定義されるという。リンクトインのデータは誰でも閲覧可能な状態で掲載されている。
リンクトイン側はさらなる控訴を検討しているという。