学校によっては100年近い歴史を誇り、生徒と教職員の比率が1:2から1:3という信じられないほど手厚い教育と、数十カ国から生徒が集まるインターナショナルな環境、そして、スイスの安全な暮らしと美しい自然で人々を魅了している。
目が飛び出るような授業料を設定しているだけあって、どの学校も、広大な敷地に瀟洒な校舎と近代的なスポーツ施設を備え、そこに新参者が入る余地はないように見えていた。
設立5年、注目集まる新設校
そんなスイスにおいて最近注目を浴びているのが、2014年に設立されたばかりの新設校「Le Regent College」だ。
ジュネーブから2時間、チューリッヒから2.5時間、ミラノから3時間の風光明媚なスキー・ゴルフリゾート、Crans Montanaの麓にある同校は、4〜18歳を対象にした一貫校。近隣の某名門校で25年にわたり、生徒や家族の信頼を得てきたBoutroux夫妻が設立した。
私がこの無名の学校を知ったのは、私たちがISAK(ユナイテッド・ワールド・カレッジ ISAKジャパンの前身)を設立した2014年のこと。スイスの某名門ボーディングスクールを兄妹で卒業したアメリカ人の友人から、同年にスイスで素晴らしい学校を設立しようとしている恩師がいるからと、夫妻を紹介してもらったのだった。
あれから5年。今夏カリフォルニアで友人と再会したとき、彼女が改めてこの新設校への訪問をすすめてくれた。特に小学校部門では、伝統校よりも先進的で考え抜かれたカリキュラムを採用しており、かつ一人一人の生徒を家族のように一緒に育てるという哲学がより徹底されていると聞いて、ジュネーブ出張の際に立ち寄ってみることにした。
時を同じくして、ロンドン在住の友人からも、理想の教育を追求する教職員が近隣の伝統校から数十名単位でLe Regent Collegeへ移籍したことがヨーロッパで噂になっているとも知らされ、ますます期待が高まった。
実際に訪れてみると、そこには彼女たちが話してくれた通りの学校が存在した。アドミッションズ・ディレクターはもちろん、小学校部門の責任者と話しても、彼女の配偶者と話しても、ハウス・ペアレンツと話しても、全ての生徒の顔と名前や家族構成や得意分野などを把握しているらしいことに感心した。
これまでにもスイスの名門校をいくつか訪問したことはあるが、小学校部門の50名もいない生徒の中に10名ほどいる日本人生徒の名前を、部門長が半分も覚えていない学校があったりして驚いた記憶がある(そもそも、一学年にこれほどまでに日本人のお子さんがいらっしゃることにも驚いたが)。