同法案は、ギグエコノミーのための法的な枠組みを確立する内容だ。ギグエコノミーでは多くの場合、企業がいわゆるフリーランサーを雇い、フルタイムの雇用契約であれば受けられる権利や保護を提供せずに、フルタイムの仕事をさせている。同法案が今月13日に承認された後は、米国の他の州や他国の多くが追従して類似の法律を導入することが期待されている。
ギグエコノミーは「搾取経済」を体よく言い換えたもので、雇用側は社会保障や保険などの費用を負担することなく、その分を利益に回せる仕組みだ。
例えば料理の出前サービスを導入するには経費がかかり過ぎるなら、宅配員をフリーランサーとして雇う。そうした宅配員は宅配用の車両を自前で用意し、有給休暇もなく、配達中に交通事故で亡くなったり仕事中に病気になったりしても自己責任となる。最近大きな成功を収めた起業家たちの一部は、こうしたやり方で富を築いてきた。
実際には、フリーランサー/自営業者/独立請負人と従業員との違いは、いたって明白だ。そのため、ギグエコノミーを利用する有名企業の多くが、事実上フルタイムで雇っている人々に対する責任を負うとした判決を相次いで言い渡されている。
カリフォルニア州のAB5は、3つの基準によって従業員と自営業者とを明確に区別しようとしている。仕事を受ける者がフリーランサーや独立請負人とみなされるのは、以下の3つの基準を満たした場合のみだ。
(1)契約上も実態でも、業務のパフォーマンスについて雇い主の管理下にあったり指示を受けたりしない
(2)雇い主の通常業務以外の仕事を請け負っている
(3)請け負う仕事と同じ性質を持つ、独立して確立した商売または職業、事業に習慣的に従事している