動物由来の素材を全く使わない「ビーガン」モデルの提供は、動物愛護活動家らが2015年から求めてきたものだ。動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」は、モデル3と今後発売予定のモデルYから2020年までに完全に革を排除するとの約束をマスクから取り付けていた。サイズのより大きいモデルSやモデルY、そしてロードスターがこれに続くかどうかは不明だ。
テスラは2年前、モデル3やモデルX、モデルSで合成素材を使った「プレミアム」な内張りを開発したが、ハンドルを覆うのに適した素材を見つけることが難題だったようだ。マスクは6月の株主総会で「革製ではないヒーターなしのハンドルを採用しかけていた。革以外の素材を温めること、そして時間の経過による摩耗という点で課題がある」と述べていた。
革を使わないプレミアムモデルというのは矛盾しているように思えるかもしれない。しかし電気自動車の購入者一般、特にテスラ車の所有者は、高い環境意識を持つ傾向にある。この動きは、ガソリンを大量消費するフルサイズのピックアップトラックを悪魔の所業とみなすような理想主義者の顧客を引きつけようとするテスラの新たな戦略だ。
PETAはもちろん、この動きを歓迎している。同団体のウェブサイトは「革を捨てることで、テスラは持続可能性の追求に注力するという方針に沿いつつ、革産業に内在する残酷さから牛を救うことになる」と語り、「革生産のために牛を育てるには、大量の餌や土地、水、化石燃料が必要になる。また牛は、特に温室効果が高いガスの一つであるメタンを大量に大気中に放出する」と述べている。