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2019.09.01 10:00

雨水を飲料水にして販売 米メーカーが「水」に込める思い


既に限りある資源である地下水と違い、雨水は再生可能だ。リチャーズ・レインウオーターは浄化されているが、オニールによると水を集める段階からもともと基準よりも清潔だ。彼は「自然環境は総じて非常にうまく機能している」と言う。


レスリー・ヘンダーソンとマーク・ヘンダーソン(Photo courtesy Lazy Magnolia Brewery)

例えばレージー・マグノリアでは、雨水収集タンクと浄化システムは展示されており、醸造所併設のバーから見ることができる。これについてオニールは、「自分が手にするビールや水がどこから来ているのかを理解すると、その飲み物や世界の中で自分が今いる場所に、より大きな感謝の気持ちを持つようになる」と話す。

リチャーズ・レインウオーターは、現時点では水の販売に使い捨て容器を使用している。炭酸なしの水はリサイクル可能なプラスチック、炭酸水はガラス容器に入っている。しかしゆくゆくは、包装を廃止してディスペンサー装置で販売する予定だ。

集められた雨水はあらゆる目的で使用できるが、リチャーズ・レインウオーターでは100パーセント飲料水に利用している。「最も多く、最善な使用法は人間による消費だ」とオニール。同社は、清潔な水が不足することによる問題を解決し、世界中の不十分な公共上水道の問題に取り組むことを最終的な目標に掲げる。その一環として、状況に応じて水の寄付も行っている。

レージー・マグノリアにもうれしい効果が

レージー・マグノリアは現在、リチャーズ・レインウオーターに雨水の収集所とボトル詰め施設を提供しているだけだが、将来「雨水ビール」を作るという可能性もあるようだ。「水の化学はビールの味に大きな影響を与える」とヘンダーソンは言う。

とはいえ、「水」だけでも価値がある。レージー・マグノリアには、教育を目的とした多くの社会見学で地元の若者が多く訪れているし、家族で訪問するのにも適している。「非常に多くの未成年が醸造所を訪れている。こうした若者は、水を楽しむことができるから」とヘンダーソン。

雨水に対する、シンプルながら型破りのアプローチについてオニールは、「清潔な水があなたにとって何を意味するのかを考えてほしい。私たちは、この概念をどのように人に説明すべきか考えるのに多くの時間を費やしている」と思いを語る。そして、「大人はすぐに買いに動かないかもしれないが」と前置きしつつ、「子どもたちはすぐに理解するよ」と述べた。

翻訳・編集=出田静

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