メタルカードが象徴するものについて、コンサルティング会社「シーゲルプラスゲール(Siegel+Gale)」のAustyn StevensとLloyd Blanderらに話を聞いてみた。
メタルカードの始まりは1999年に遡る。先駆けとなったアメックスのブラックカード「センチュリオンカード」は、招待制の富裕層限定の金属製カードとして始まった。
デジタル化によって物理的なクレジットカードの必要性は下がったが、アップルのチタン製カードのように、ステータス感をアピールするカードの発行は増加するとBlanderは見ている。
「ひんやりとした感触とカードの重みが好まれる。支払いでテーブルに置く際に発する音は業界で“クランク・エフェクト(金属音効果)”と呼ばれている」とBlanderは話す。
デジタル化が進んだ現在、物理的カードを使う機会は減っている。しかし、カードの素材を変えることで「感触や音などで新たな魅力を打ち出せる。デザインの観点からも新たな要素をアピールでき、パーソナライズされた気分を押し出せる」という。
メタルカードの流行についてStevensは、「プレミアムでエリートな気分」を高められることが理由だと説明する。メタルカードの難点を挙げるとすれば「通常のカードよりも製造コストが高く、環境への配慮の点ではマイナスだ」ということになる。
RevolutのCEOのNik Storonskyはメタルカードの導入時に「Revolut Metalが一線を画すカードとなり、世界中の旅行者にとって必需品になると確信している」と述べた。このカードは手数料が無料になったり、空港ラウンジが使えることが特典とされている。
人と違う、何か格好いいものを手っ取り早く提供したい企業にとって、メタルカードは好都合だ。「多くの金融機関がカードで差別化を図ろうとしている。ステータスシンボルの意味合いを追加しようとしている」
プラスチックの使用量を減らすことは今日における大きな課題だが、メタルカードの方が環境に優しいという根拠は薄い。「金属はリサイクルできるが、リサイクルできない素材と組み合わせると、そうとも言えない」との見方もある。
環境問題への意識が高まる中、トウモロコシ由来のプラスチック製のカードや木製カード、リサイクルプラスチック製のカードなども流行っている。カードの需要が下がり、デジタルウォレットへの移行が進む中で、消費者がさらに新たな価値をカードに求め始める可能性もある。