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2019.08.26 11:30

製造業の調達領域に革命を起こす。元マッキンゼーが狙う「モノづくり界のアマゾン」 #30UNDER30

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製造業のなかで、未だ多くの非効率が残る受発注の領域。キャディ代表取締役の加藤勇志郎は、テクノロジーを活用したプラットフォーム「CADDi」によって、この領域に革命を起こそうとしている。

加藤は今回、日本を代表するビジョンや才能を持つ30歳未満の30人を選出する名物企画「30 UNDER 30 JAPAN 2019」のエンタープライズ・ビジネス部門を受賞。



サービスの開始から2年弱。今やメーカー、加工会社ともに信頼される立場となった加藤が見据える製造業の将来像とは。


「手付かず」の調達領域に風穴をあける

7月に移転したばかりのオフィスには、真新しい家具や什器が並ぶ。「この机はパートナーの町工場さんが納入してくださったものです。『移転祝い』として板金のコースターセットを贈ってくれたところもありました。まだ『CADDi』を立ち上げて2年弱ですが、みなさん応援してくださっている。まさに『パートナー』という感じですね」と、加藤は穏やかながらも熱い口調で語る。

東京大学卒業後にマッキンゼー・アンド・カンパニーへ入社。史上最年少でシニアマネージャーに就任し、製造業界のグローバル戦略構築や新規事業策定などに従事した。そこで直面した調達領域の構造課題をきっかけに、加藤はキャディを創業した。

国内の製造業市場は180兆円規模、そのうち調達領域だけでも120兆円という大きな市場だが、自動化や効率化は驚くほど進んでいない。メーカー側は数百点から数万点もの部品を調達する際、全国に数万社ある加工会社から選んで発注しなければならないが、どの会社がどの分野に長けているかを把握することは容易でない。そのため複数の加工会社に相見積もりを依頼し、多くの場合は最安値の会社へ発注する。

一方、加工会社は数日から数週間かけて見積もりを行なったとしても、その受注率は1割に満たないことがある。これら一連の受発注が、すべて手書きの伝票で、FAXによってやり取りされていることもざらだ。ときには取引先との「長年の付き合い」による忖度や工場の稼働率を確保するため、赤字覚悟で受注することも珍しくない。特定の取引先に依存している町工場も多く、資金繰りが悪化して、最悪の場合、倒産してしまうことさえある。

そんな調達領域の不合理な課題を解決すべく、キャディが立ち上げたのが製造業の受発注プラットフォーム「CADDi」だ。発注側がCADDiに部品の設計図面データをアップロードすると、画像認識技術やアルゴリズムにより、わずか7秒でその費用と納期が算出される。さらにその部品を得意とする加工会社を選定し、マッチングを行う。キャディが介在することで、メーカーはコストを平均で約2〜3割削減し、加工会社は見積もりに手間を取られることなく、利益を確保したうえで自らの得意分野の部品加工を行うことができる。発注側、受注側の双方が品質、費用、納期すべてを満たす全体最適を実現するのだ。
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文=大矢幸世 写真=小田駿一

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