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加藤は前職で、海外で調達していた部品を日本製に切り替えたことがある。その時に実感したのは、「高品質なうえに、コストパフォーマンスに優れているという圧倒的な強み」だった。多品種少量生産の分野は複雑で、発注側と受注側で細かいすり合わせをしなければ、部品加工がうまくいかないことがある。しかし、日本の加工会社は、メーカー側の意図するところを図案の余白から汲み取り、「当たり前のこと」として対応してくれるのだ。これは、海外にはない大きな魅力である。

だからこそ加藤は、エンドユーザーに「日本の技術力」が伝わりづらい現状に危機感を抱く。「製品を支える町工場や下請け企業にこそ光が当たらなければ、人も働こうとしないし、産業として廃れてしまう。キャディが彼らをフィーチャーすることで『3K』のイメージを変えたいですし、10年、20年かけて持続的にいいものを生み出せる仕組みと関係性を構築していきたいんです」

マッキンゼーの在職中、 “鬼教官”のような先輩から、「自分の二つか三つ上の役職を意識しろ」とアドバイスを受け、役員の意思決定や振る舞いと自分との差分を常に考え、行動を積み重ねてきた。社員数50名ほどの会社を経営する立場となった現在、加藤が意識しているのは、Amazon創業者兼CEOのジェフ・ベゾスだ。「彼の20年前の動画を観ても、いまと言っていることがまったくといっていいほどブレていないんです。『すべてはカスタマー・ファーストであり、そのために最善の価値を届ける』と」

Amazonが創業した1994年の時点で、テクノロジーが進化しても「本」というフィジカルの価値が失われないことを予想していた人が、どれほどいただろう。我々はデジタルの利便性を享受しながら、いまだにアナログなものに価値を感じている。

そして、彼が見据えるのは、世界だ。「欧米でもアジアでも、部品の受発注を最適化し、受発注側双方の構造課題を解決していく。ファイナンスも物流も付帯業務も……至るところに課題があるじゃないですか。それらを解決するようなプラットフォームをつくっていきたいんです」

<受賞者たちへの共通質問>
今後3年で成し遂げたいことは?



かとう・ゆうしろう◎2014年、東京大学卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、史上最年少のシニアマネージャーに就任。製造業のグローバル戦略構築や新規事業策定などに従事する。調達領域の非効率な構造課題を解決するため、17年11月にキャディを創業し、代表取締役に就任。


加藤をはじめとした、個性あふれる「30 UNDER 30 JAPAN 2019」の受賞者の一覧はこちらから。若き才能の躍動を見逃すな。

文=大矢幸世 写真=小田駿一

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