さらにこれは、家族動態や健康・介護の需要、労働力に急激な変化が生じることも意味する。高齢化は長期的な介護ニーズや各家庭の経済的安定に影響を与えるため、この点は特に当てはまることだ。
米介護支援団体パラプロフェッショナル医療研究所(PHI)で政策担当副社長を務めるロバート・エスピノサは「米国は、長期的な介護に関して転換期を迎えている。私たちは、家族が利用できるようシステムを手頃な価格にし、労働力を増やしてアクセスしやすくする必要がある」と述べた。
では、誰が老いゆく人たちを介護するのだろうか? その経費を払うのは誰なのだろう?
PHIと、米国の全国的キャンペーンであるケアリング・アクロス・ジェネレーションズ(Caring Across Generations)が先日発表した報告書では、米各州が労働力不足問題にどのように正面から取り組むことができるかを取り上げている。
現状は?
人口の動向や家族の生活状況、個人の自立性は過去数十年で大きく変化してきたが、多くの政策や支払いの構造、労働力の動向は変わっていない。労働年齢の家族が家の外で働くことを必要とする家族が増えるにつれ、家に残って家族を介護する人が不足している。
その結果として、家庭での長期的なサービスと支援(LTSS)のニーズが加速度的に増えているが、在宅上級介護者の年収は1万7000ドル(約180万円)以下で、需要やニーズを満たすのに十分な数の労働者を引きつけ維持することが全くできない状態だ。
また離職率の高さにより、既に存在するギャップや介護の継続性が損なわれるだろう。PHIは2019年1月、「直接的な介護のセクターは2026年までに780万の仕事を埋める必要がある。この仕事で離職率が高いことが一部理由となり、ニーズが生じている」と述べた。
米国では、高齢化を念頭にして多くの連邦プログラムが作られた。しかしその多くが寄せ集め的なものであり、国民の健康状態の悪さと長期的な介護の需要が現在ほどではなかったはるか昔に作られたものだ。そのため今こそ、現状に合わせた代替策を考える必要がある。しかし一般市民には、どのような代償が生じるのだろう?