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2019.08.19 16:00

化粧品・美容業界が直面する「B級品」も生かすという選択

WAYHOME studio / shutterstock.com

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東京オリンピック・パラリンピックの開催まで、残り1年を切った。開会式と閉会式を行うメイン会場の新国立競技場も、最難関の屋根の取り付けを終え、予定通り11月末の完成に向け、工事も最終段階に来ている。
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周囲には植栽が入り、競技場内にも座席が敷設され、大型スクリーンも設置されている。五輪マークの大きなモニュメントも、競技場の前に完成した。それはまさに、日本お得意の、完成度が高く、計画を遵守する、「信頼の仕事」の象徴とも言える。

行き過ぎたこだわりが廃棄をうむ

美容業界でも同じことが言える。化粧品の容器やパッケージに使用するプラスッチやガラスや紙などの加工において、その完成度の高さや、細部にまでわたる日本のこだわりは、海外諸国からも高い評価を受けている。わかりやすいところでいえば、かつてスティーブ・ジョブズはiPhoneの鏡面仕上げを日本の中小企業に発注した。
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毎日お世話になっているシャンプーの容器でさえこだわりが満載で、ポンプから出るシャンプーの量は一定、ラベル印刷がのりやすく、お風呂で手から滑り落ちないプラスチックの表面加工、容器内の液体のためUV対策をしているものまである。

ボトル成形の金型に液体プラスチックを注入した時にどうしてもできてしまう「液体の流れの線」を消す技術とか、ほとんどのユーザーが気にも留めないような細部まで完成度は高い。

こうした匠の技は素晴らしく、日本の美容アイテムの完成度は、いちユーザーとしても気持ちがよい。しかし、果たしてそのような匠の技の追求が、現代の環境問題に適しているかというと、疑問を抱いてもおかしくない時代になっている。

完成度にこだわるほど、B級品(規格外製品)の数は増える。メーカーは、ブランド維持のために、そういったものが世の中に出回ることを避ける。すると廃棄となるのが一般的な流れである。

「十分に使えるもの」を生かす

パリの街角では、いま、カフェの多くが、無料冷蔵庫というのを店頭に置いてある。地元の住人が買い過ぎたジュースや、賞味期限の切れたヨーグルト、ハムなどをそのなかに入れておく。すると、別の住民が無料で持っていく。食品ロスをなくすという取り組みだ。

フランスをはじめとして、ドイツやイタリアでも、賞味期限ぎりぎりの(切れたものもある)シリアルや缶詰を扱うスーパーもある。

化粧品やシャンプーだと、その昔はアメ横あたりのお店には、どこから流れてきたのかメーカー品が安く売られており、いまはネットでそういうものを手に入れることができる。

それならば、いっそのこと環境系の公式バラエティショップなどをつくって、メーカーとも信頼関係を維持しながら、商品を再利用する道を模索してもいいのではないだろうか。パッケージの完成度は不完全だが、充分に使えるのだ。それくらい日本のB級品は、どこが悪いか当の会社の社員さえわからないものもあるのだ。
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文=朝吹大

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