さらに、イーロン・マスクCEOがこれまで同社の最高技術責任者(CTO)を務めてきたJBストラウベルが現職を退くと発表し、株主の間に失望感が広がった。
テスラの赤字幅は前年同期の7億1700万ドルと比較すると、大きく縮小している。総売上高も前年同期比約60%増の63億5000ドルとなったが、アナリスト予想を下回った。
投資家らが最も気にかける粗利益は、1年前の20.6%から18.9%に縮小した。背景には、今期の売上増を牽引したのが、安価なモデル3だったことがあげられる。マスクは2019年内に40万台を納車すると繰り返し述べているが、次の第3四半期に黒字を達成できるかどうかは定かではない。
上場してから9年のテスラは、四半期ごとに赤字と黒字を繰り返している。2018年後半は黒字を記録したが、今年に入り赤字に戻った。2010年に上場して以来、テスラは通年で黒字化を達成したことがない。また、黒字だった四半期においても、純粋な自動車の売上のみではなく、他の自動車メーカーに対する「排出権の売却」から得た利益が貢献している場合もある。
カリフォルニア州は自動車メーカーに対して、販売台数の一定割合を電気自動車などZEV(排出ガスゼロ車)とするよう義務付けている。テスラのように基準をクリアしているメーカーは「ZEV排出枠(クレジット)」を基準未達のメーカーに販売できるのだ。
テスラの株価は7月24日の取り引き終了時刻に264.88ドルだったが、その後は239ドル付近まで下落した。フォーブスの試算で、マスクの保有資産は現在、201億ドルとされている。
Insights for EdmundsのJessica Caldwellは「テスラはこれまでイノベーティブな企業として評価を確立したが、売上を伸ばすためには価格の引き下げが必要だ」と述べた。高価格なモデルSやモデルXが売上減に直面する中で、テスラは4万ドルを切る安価なモデル3で市場にアピールし、販売台数を増大させた。しかし、ここで気になるのは安価なモデル3で利幅を維持できるかどうかだ。
マスクは既にモデル3をベースとした、やや高額なモデルYの市場への投入を準備中で、「年間200万台の納車を実現する」という強気な目標を掲げている。しかし、この努力が収益性の向上に結びつくかどうかはまだ分からない。
テスラは第2四半期に合計で2億5000万ドルの資本支出を行い、上海のギガファクトリーの建設やモデルYの製造ラインの拡張、充電ステーションの整備にあててきた。
テスラは第2四半期に合計で9万5200台の納車を達成したと発表し、そのうち7万台以上がモデル3だった。