英フィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によれば、アマゾンが提供するふたつの音楽配信サービス「Amazon Music Unlimited」と「Prime Music」は現在、有料会員数が3200万人に上るという。
金融大手ゴールドマン・サックスは、有料ストリーミングサービス業界は2030年には800億ドル(約8兆6327億円)規模に成長すると予測する。Tidalは、アップル・ミュージックやスポティファイと共闘することで、横入りしてきて業界を完全支配しようとしているアマゾンを撃退できるのだろうか。
Tidal vs アマゾンの背景
Tidalとアマゾン・ミュージックを直接並べて比較する人は多くないだろうが、それは間違いだ。ビジネスニュースサイト「カルチャーバンクス(CultureBanx)」の指摘によると、ジェイ・Zが所有するTidalは、有料のHi-Fiプラン会員を対象に、抜群の高音質音楽をストリーミング配信し、大きな存在感を放っている。
そしてアマゾンは、その分野に参入すべく、独自の高音質音楽配信プラットフォームを立ち上げたいと考えている。目指すのはもちろん、業界支配だ。加えて、アップル・ミュージックとスポティファイを王座から引き下ろそうとしている。
Tidalにとって明るい材料は同社が提供する楽曲数で、現在は5600万曲が視聴可能だ。一方、Amazon Music Unlimitedの会員が聴ける楽曲数は5000万曲となっている。
Tidalはここ最近、有料会員数を公表していないが、2016年時点では300万人だと謳っていた。ただし、この数字はかなり疑問視されており、実際の数は100万人弱だと推定されている。
アマゾンの参入で、状況はさらに厳しさを増す可能性がある。というのもアマゾンは、Tidalと同一のサービスを提供するだけでなく、プライム会員というインセンティブを差し出せるからだ。具体的に言えば、プライム会員の増加と、スマートスピーカー「アマゾンエコー」の人気が、同社音楽サービスの成長へとつながっている。