「ラ・グランダム」を聞いたことがないという方でもヴーヴ・クリコはご存じだろう。世界でもっとも愛されているシャンパーニュのひとつとして名高いが、ではヴーヴが仏語で未亡人という意味であり、ヴーヴ・クリコがつまりはクリコ未亡人という意味であるとご存じの方はさほど多くないに違いない。
ヴーヴ・クリコは1772年に仏シャンパーニュ地方で創業。1805年に創立者の息子であるフランソワ・クリコが死去した際、跡を継いだのが妻であり、未亡人となったマダム・クリコ。当時27歳の若さでメゾンを率いたマダム・クリコは、初めてヴィンテージ・シャンパーニュを醸造し、澱のない透明なシャンパーニュを製造できる動瓶台を発明、また現在の主流となっている赤ワインのブレンド法によるロゼ・シャンパーニュを発案するなど、今でいう数々のイノベーションを生み出し、この地方で「La Grande Dame(偉大なる女性)」と呼ばれていた。このマダム・クリコへのオマージュとして、メゾン創立から200周年の1972年に生まれたのが「ラ・グランダム」。文字通り偉大なる女性を讃えるプレミアム・シャンパーニュである。
ではこのシャンパーニュ、味わいもフェミニンなのか? と言われたら、さにあらず。最高醸造責任者であるドミニク・ドゥマルヴィルが自身初めて手掛けたヴィンテージである「ラ・グランダム2008」のセパージュはピノ・ノワールが92%を占め、しっかりとした骨格と力強さ、そしてフィネス(洗練)を感じさせるものであった。
「ラ・グランダム2008はすべてグラン・クリュ(一級格付け畑)のブドウで造られていますが、(92%の残りの)8%をすべてメニル・シュール・オジェ産のシャルドネを使用しているのも特徴。メニルのシャルドネは少量であってもエレガンスを生み出す素晴らしいブドウです」と教えてくれたのは「ガストロノミー “ジョエル・ロブション”」のシェフソムリエ、高丸智天氏だ。パワーと洗練を併せもち、複雑なパレットの「ラ・グランダム2008」はグランメゾンの料理をより引き立て、前菜からメインまでこれ1本で通すというファンも多いのだとか。“偉大なる女性”を讃えるシャンパーニュとのマリアージュに、至福のひとときとなるのは間違いない。
La Grade Dame 2008 ラ・グランダム 2008
セパージュ:ピノ・ノワール92%、シャルドネ8%
容量:750ml
価格:19400円(税別参考小売価格)
問い合わせ:MHDモエ ヘネシー ディアジオ
*2019年7月から順次、全国百貨店及び、提携レストランにて販売予定