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2019.07.16

リチャード・ブランソン、ヴァージンの今後35年を語る

リチャード・ブランソン Gettyimages


ブランソンは同社の最高経営責任者(CEO)ではなくなったものの、広報担当者は「リチャードはミステリーショッパー(覆面調査員)のようだ。会社の運営状況について、管理職やCEOにメモを渡している」と語っている。

ヴァージン・アトランティックを含むグループ会社はまた、ブランソンの慈善活動や環境保護の取り組みの基盤ともなっている。フォーブスはブランソンに対し、航空業界は気候変動との闘いに本腰を入れているのかどうかを尋ねた。

「気候変動は世界が直面する最大の脅威の一つだ。世界を救うだけの十分な時間は残されているだろうか?」とブランソン。「少なくとも米国では、カリフォルニア州など気候変動に対して真剣な取り組みを進めている場所がある」と語り、米国の現政権はそうではないことを明確に示唆した。「私たちには気候変動に関する新たな政策が必要だ。私たちは世界に対し、海洋を守るよう働きかけている」

ブランソンは有言実行のため、ヴァージン・フュールズ(Virgin Fuels)を通してバイオ燃料や、いわゆる工業燃料に投資している。ヴァージン・アトランティックの747型は2018年、炭素を豊富に含んだ工業排ガスの混合燃料を用いてフロリダのオーランドからロンドンに飛んだ。これは、産業廃棄物由来の持続可能な航空燃料を使った最初の商業便だった。ブランソンはこの方法で、最終的には年間1億2500万ガロンのジェット燃料を生産し、110万トン近くの二酸化炭素を削減できることを期待している。

短期的な見通しとしてブランソンは、ヴァージン・アトランティックが最近14機の「美しい新型エアバスA330neo」を購入したことに言及。これにより2023年までに30%の燃料節約が可能だと語った。

また、ブランソンは人への投資も同様に重要だと考えている。彼が行う一連の慈善事業には、HIVやエイズと闘うヴァージン・ユナイト(Virgin Unite)や、発展途上国で起業のスキルを伝授するブランソン起業センター(Branson Center of Entrepreneurship)、よりクリーンなグリーン燃料を作るヴァージン・フュールズ、そしてヴァージン・グリーン・ファンドなどがある。
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編集=遠藤宗生

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