アルメイダ新市長は、前市長が環境対策として導入した市中心部への従来車(ハイブリッド車や電気自動車などの環境対応車以外の車種)の乗り入れ禁止について、「大気の質が改善されたという客観的データがない。一方で、商店や飲食店の売り上げ低下が税収に影響することは明らかだ」として、規制を見直す意向だった。
新市長の考えとは対照的に、マドリード市が導入した低排出ゾーン(low-emission zone)では、歩行者が増えたことにより、レストランや商店の売上が増加したことが確認されている。
現地の新聞El Paisが掲載したレポートでは、低排出ゾーンの導入以降のマドリード市の中心部では1カ月で、窒素酸化物の排出量が38%、二酸化炭素の排出量が14.2%減少した。この報告はマドリード工科大学の調査に基づいたものだった。
マドリード市は2018年のクリスマス時期に、中心部への車の乗り入れを禁止した。スペインの銀行BBVAの推定では、この措置により市の中心部での経済活動は促進されたという。市と銀行の調査により、自動車の乗り入れ禁止により、マドリード市の繁華街の商店の売上は9.5%の上昇になった。
マドリード市の低排出ゾーンはMadrid Centralと呼ばれ、前任の左派市長のマヌエラ・カルメーナが昨年11月に導入していた。その後、現市長のマルティネス・アルメイダが、低排出ゾーンの撤廃を宣言して以降、環境保護団体らが路上で抗議活動を行っていた。
今回の裁判所の決定は、抗議活動を行った人々には嬉しい報せとなった。「マドリード市民の健康は、車で移動をする権利よりも大切だ」と裁判長は述べ、現市長の決定を退けた。