レアル久保建英、発言録からにじみ出るプロとしての「覚悟」

久保建英(Alex Livesey / Getty Images)


FC東京側からは幾度となく、契約の延長を打診されている。それでもFC東京の下部組織に加入した2015年5月からの約束であり、プロ契約を結んだ2017年11月の時点で「2019年6月4日」をもってフリーの身分となることへ、久保は強いこだわりを抱いてきた。

バルセロナからの退団を余儀なくされたのは、国際サッカー連盟(FIFA)が原則禁止している18歳未満の外国籍選手の獲得・登録に、久保を含めた複数の下部組織所属選手が抵触。公式戦に出場できないペナルティーが科され、18歳になるまで解除される見込みが立たなかったからだ。

日本への手土産となった断腸の思いを、久保は一度たりとも忘れたことはなかった。FC東京との契約を延長しても、実力と可能性が評価されればヨーロッパへ再び挑戦できる扉は開く。新天地から違約金が支払われる状況は、約4年間所属したFC東京への置き土産にもなる。

それでも、FC東京への感謝の思いを抱きながら、久保は交渉がしやすくなる道を選んだ。年俸や加入後の待遇を介して、久保への高い評価を提示してきた世界一のビッグクラブ、レアル・マドリードへの完全移籍が電撃的に発表されたのは、フリーになって10日後の6月14日だった。

「何かもやもやした表現で申し訳ありませんけど、サッカー選手として大きな存在でありたい。久保選手を見てサッカーを始めましたと言ってもらえるような、より大きな影響を周囲に与えられるような選手に、ひと言で表現すれば『すごい選手』になることが僕の目標です」

プロになった直後に、久保はこんな言葉とともに自身の近未来像を描いている。世界中から金の卵たちが集まってくる3部リーグを戦うBチーム、レアル・マドリード・カスティージャのルーキーとして臨む、流れる雲をつかみ取るかのような壮大な挑戦がまもなく幕を開ける。

連載:THE TRUTH
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文=藤江直人

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