ロンドンの人々が自転車で走行する距離の合計値の平均は、1日400万キロメートル以上に達している。ロンドンの「ウォーキング及びサイクリング理事」を務めるウィル・ノーマンは次のように述べた。
「政府の道路インフラへの投資により、ロンドン市民らは以前より安心してサイクリングを楽しめるようになった。今後も各都市が道路の整備を進めることにより、ウォーキングやサイクリングを行う人々が増え、クリーンで緑に満あふれる都市への進化がもたらされる」
しかし、交通局のデータの細部を確認すると、やや気になる事実が浮かび上がる。道路インフラが新しくなっても、サイクリングを行う人々の層は以前と変わらない。日常的にサイクリングを行う人々の大半は白人中年男性で、収入レベルが中間以上の人々だ。
サイクリストの85%は白人で、この比率はロンドンで新たな自転車専用軌道の建設が始まって以来、変わっていない。さらに、女性サイクリストの比率も少ない。ほとんどのルートで、女性サイクリストの割合は約27%だ。
また、年間所得が2万ポンド(約270万円)以下の低所得のサイクリストの比率は非常に低く、全ルートで14%を下回った。サイクリストの中で最も大きな割合を占めるのは、年間所得が7万5000万ポンド(約1000万円)以上の高収入層だ。
「これらのデータから読み取れるのは、新たな道路インフラを利用中の人々の属性が、以前からサイクリングを行っている人々とほぼ同じであることだ。サイクリングを、より多くの人々に普及させるためには、追加のアクションが必要であることが、ここから見えてくる」と交通局は結論づけた。