「オレンジ経済」を推進するロベルタ・アナンが描く未来とは。
昨年11月、アフリカのクリエイティブ業界振興を狙うImpact Fund For African Creatives(IFFAC)が始動。IFFACはファッション、映画、文学など広範な事業に対する1億ユーロの投資ファンド。クリエイティブ経済の基盤整備と成長促進が目標だ。IFFACはガーナ人起業家ロベルタ・アナンの投資アドバイザリー会社、ロベルタ・アナン・キャピタル・パートナーズ(RACP)が運用。同社はモーリシャス、イギリス、スイス、ガーナ、コートジボワールに拠点を持ち、投資案件のアドバイザリー、富裕層の資産管理、農業ビジネス、ファッションブランドなどへのインパクト投資を行う。
アナン曰く、グリーン経済の次は『オレンジ経済』。コロンビアのドゥケ大統領らが推進するクリエイティブ産業からなる経済を意味する。「アフリカはクリエイティブな人材や活動に溢れているが、米国や日本のような産業基盤がない。バリューチェーン全体に投資する必要がある」とアナン。
クリエイティブ産業の定義は国や機関の政策に依存し、市場規模算出が難しいがUNCTADの2018年の報告書によると2015年時点でのクリエイティブ製品の世界市場は5000億ドル。クリエイティブ製品は芸術的工芸、音響映像、デザイン、ニューメディア、舞台芸術、出版、視覚芸術の7分野からなる財を指し、広告や建築などの関連サービスは含まれない。
テラ・コンサルタンツの2014年の調査報告書によると、関連業界も含めたクリエイティブ業界は2008年時点で欧州GDPの6.9%、雇用の6.5%を占めた。アフリカのクリエイティブ産業のGDP割合は1%以下だとアナン。関連活動の大半はインフォーマルセクターだ。
IFFACは、その課題解決に向けた基盤作りを担う。ファンドの9割はギャラリー、小売スペースなどのインフラ事業に、残りはアクセレレーター事業に投資。会社の利益の10%はCSRとして給付型奨学金へ。「IFFACは10-15%のリターンを見込む」とアナン。