アフリカ系が自身の文化やルーツであるアフリカ中心的な(Afrocentric)文化を世界に発信し始め、それを支援する動きが増えつつある。黒人キャスト、スタッフにこだわり、黒人のスーパーヒーローを描いた映画「ブラックパンサー」のヒットは、こうした文脈を考えると意義深い事実だ。「ブラック・パンサー」などがきっかけとなり、アフロ・フューチャリズム(Afrofuturism、アフリカ視点の未来構想主義)のようなアフリカ視点の考え方、言葉、価値観が生まれ、広まりつつある。African Renaissance、Afrocentric、Afrofuturismといった単語は、これからの世界を読み解くアフリカの視点を理解するための重要なキーワードなのだ。
一方、アフリカが世界に発信するだけでなく、世界も「アフリカ化」している。「ファッションやライフスタイル企業がグローバルな消費市場展開を検討する際、世界人口の約3分の1が「アフリカ系」だということは認識されるべき事実」とナイジェリア人起業家ウチェ・ペザール(Uche P´ezard)は言う。ペザールは、ラグジュアリーブランドのコンサル会社Luxe CorpのCEOを務める傍ら、アフリカのファッションデザイナーを集結させたプラットフォーム、Luxury Connect Africaを立ち上げ、キュレーションを手がける。アフリカ大陸に住む人(Afrocontinentals)、世界各国のアフリカ系移民(Afrodiasporans)とアフリカ系の子孫(Afrodescendant)を合計すると、その人口は26億人に上るという。
アフリカの経済発展の柱であり、精神的な脱植民地化の実現手段。そして世界各国に流通していくソフトパワーの源泉。それがアフリカの『オレンジ経済』だ。